事故死の連絡を受けたらどうすればいい?
更新日: 2023/04/03
「ご家族が事故で亡くなりました」と、警察から連絡がきたら、誰でも気が動転して頭が真っ白になるでしょう。しかし、連絡を受けたご家族は冷静になって、やらなければならないことがたくさんあります。
大切な方が亡くなったというだけでも慌てるのに、事故死と病死とでは手続きや流れが異なるので、とくに戸惑う方が多いでしょう。そこで、ご家族が事故死をしたときに必要な手続きや流れをご紹介します。
事故死の連絡を受けたら
通常、ご家族が事故死をした場合は警察から電話で連絡が入ります。警察は事故で亡くなった方の持ち物を確認し、身元を特定して電話で連絡をするからです。
警察から連絡を受けたら、まずは電話先の警察署に駆けつけましょう。事故に遭い、病院に搬送されたあとに亡くなった場合には、ご家族が病院にいる可能性もあります。その際は、病院に駆けつけることになります。
警察による検視
警察署か病院に駆けつけたあと、ご家族と霊安室で対面することになります。このときにご遺体を見て、本人であることを確認しなければなりません。
その後、場合によっては家族関係や、当日の故人の行動などについて事情聴取を受けることもあります。
事故死をしたとき、亡くなった原因や事件性があるかどうかを確認するために、警察は必ず検視を行います。
司法解剖
検視を行った結果、事件性が疑われる場合には、司法解剖が行われます。司法解剖では、ご遺体にメスを入れて亡くなった原因をより詳しく確認します。ご家族の司法解剖に抵抗感を持つ方も多くいらっしゃいますが、拒否することはできません。
また、司法解剖は早ければ1日で終わりますが、長い場合は1週間以上かかることもあります。その間ご家族は、ご遺体が戻ってくるのを待つしかありません。
遺体の引き渡し
検視や司法解剖が完了したら、警察からご遺体を引き渡したい旨の電話が入ります。連絡を受けたら、ご自身の身分証明書・亡くなった方の身分証明書・印鑑を持参して、警察署に出向きましょう。
また、ご遺体の引き渡しと同時に、警察の監察医が作成した「死体検案書」を渡されます。死体検案書は役所に死亡届を提出するのに必要な書類ですが、検視の費用と合わせて3~10万円ほど支払わなければなりません。
検視や司法解剖の内容によってはかなり高額になるので、警察から連絡を受けたときに、必要な金額を聞くとよいでしょう。
故人の遺体をひきとってから葬儀までの流れ
警察に赴くと、故人のご遺体は霊安室に安置されています。ご遺体の引取から葬儀までは、次のような流れで手続きを進めましょう。
- 搬送
- 納棺
- ご逝去の連絡
- 死亡届けの提出
- 火葬許可書の手続き
- お通夜や葬儀・告別式
- ご遺体の損傷がひどいときの対応
- 事故死の場合の葬儀費用
警察署の霊安室は一時安置の場所です。ご家族はご遺体をすぐに別の安置場所に搬送をしなければなりません。ご遺体の搬送を依頼する葬儀社を決めて、連絡をしましょう。
納棺とは、ご遺体を棺に納めることです。通常、お通夜の前に湯灌(ゆかん)や着替え、死化粧を施し、参列者と最期のお別れをできるように整えます。
事故死の場合、検視や司法解剖に時間がかかることもあり、葬儀の日程がなかなか決まらないケースが多くなっています。故人の知人や仕事関係者に亡くなった旨を連絡する際は、ご逝去の一報を先に入れ、葬儀の日程が決まり次第再度連絡するとよいでしょう。
死亡届は、ご逝去から7日以内に市町村役場に提出するのが普通です。事故死の場合は検視や司法解剖に時間がかかることもあるので、警察に確認しておきましょう。
死亡届の提出と同時に、火葬許可書を発行します。火葬のときに必ず必要な書類なので、大事に保管しましょう。
お通夜や葬儀・告別式は、死因による違いはなく執り行われます。検視や司法解剖の結果が出るまでに時間がかかるため、葬儀の日程は遅くなる傾向にあります。
事故死の場合、ご遺体の損傷が激しいケースも多くあります。その際、お体に関しては止血や傷口の処置を行い、葬儀の参列者から見えるお顔のみの修復が一般的です。お体は納棺のあとに布団を掛けるため、損傷は外からは見えません。
なるべく生前と同じような状態で最期のお別れをしたい方には、エンバーミングという処置も人気です。エンバーミングは「遺体衛生保全」とも呼ばれ、ご遺体の消毒・殺菌と保全を行う処置です。エンバーミングを行うことで、ご遺体の腐敗を防止し、ドライアイスや冷蔵設備なしでも安置することが可能になります。ご逝去から葬儀までの時間が空いてしまう場合、エンバーミングを選択するご家族が多い傾向にあります。
事故死の場合も、ほかの死因による葬儀と費用はほとんど変わりません。ただし、事故死でご遺体の損傷が激しかったり、ご逝去から時間を経て葬儀を執り行ったりする場合には、ご遺体の修復を行うケースが多いでしょう。その場合には、通常の葬儀よりも費用がかかることもあります。
加害者にどこまで請求できるの
交通事故のように加害者がいる場合の事故死では、葬儀の費用を請求できるケースがあります。請求できるのは次の項目で、約130~170万円が限度額となっています。
- ご遺体の搬送費用
- 検視や司法解剖にかかった費用
- ご遺体の処置や修復費用
- お通夜や葬儀・告別式にかかった費用
- 火葬場の使用料
- 四十九日までの各法要にかかる費用
- お墓の購入や納骨にかかる費用
- 宗教者へのお布施やお礼に支払った金額
葬儀費用を請求するためには、領収書が必要です。すべてしっかりと保管しておきましょう。
加害者は葬儀に参列するの
事故死の場合、加害者やその関係者が葬儀に参列することもあるでしょう。故人のご家族が加害者の参列を希望することもありますが、加害者側が謝罪のために葬儀に参列することもあります。
加害者や関係者が参列する場合、問題になるのは香典です。香典を受け取ることにより、加害者の量刑が軽くなることがあるからです。葬儀への参列や香典を希望しない場合には、その旨を受付係に伝え、加害者が来たときには参列を断り、香典も受け取らないことを徹底しましょう。
損害賠償について。葬儀費の上限保障額は
交通事故の場合、加害者が自賠責保険に加入していれば、被害者は賠償金を受け取ることができます。支払われるのは、慰謝料・逸失利益・葬儀費などの示談金を受け取れます。
保険金として受け取れる示談金のなかで、葬儀に関する費用は原則として60万円が上限です。高額になったことが立証できる資料があり、その金額が妥当だと判断される場合には、100万円まで支払われる可能性もあります。
示談金の交渉は、葬儀が終わったあとに開始します。また、保険金の請求には領収書が必須です。葬儀に関わる領収書はすべて保管しておくようにしましょう。