直葬(火葬式)について
更新日: 2023/10/16
直葬とは、お通夜や葬儀・告別式を行わず、火葬のみでお別れをする葬儀の方法です。お通夜や葬儀を行わない分、ご家族の費用面・体力面の負担を軽減できるということで、近年とくに都心部では直葬を選ぶ方が増えています。
しかし、安易に直葬を選択すると、後で問題が起きることもあるので注意が必要です。そこで、最近増えている直葬の特徴や流れ、メリット・デメリットを詳しく解説します。

直葬(火葬式)とは
直葬とは、火葬式とも呼ばれる葬儀のスタイルです。従来の日本の葬儀では、ご逝去の当日、もしくは翌日の晩にお通夜を営み、お通夜の翌日に葬儀・告別式でお別れをしたあと、火葬場に向かうというパターンが一般的です。
直葬(火葬式)では、お通夜や葬儀・告別式を執り行わず、火葬場での火葬のみを行うシンプルな葬送の形です。お通夜や葬儀・告別式で使う葬儀会場や祭壇、宗教者への支払いなどがないため、費用が安く抑えられる葬儀として、直葬は注目を集めています。
直葬(火葬式)の流れについて
直葬(火葬式)は火葬のみを執り行う葬送のスタイルではありますが、ご逝去後すぐに火葬するわけではありません。直葬の流れを従来の葬儀と比較して説明します。
そもそも、日本には「墓地、埋葬等に関する法律」があり、ご逝去後24時間経過しなければ火葬を行ってはいけないことになっています。 従来の葬送スタイルの場合では、ご逝去の当日、もしくは翌日の晩にお通夜を行い、お通夜の翌日午前中に葬儀・告別式、その後葬儀会場から火葬場に移動して火葬を行います。このため、ご逝去から最短で2~3日で火葬まで完了します。
直葬の場合、ご逝去後ご遺体を自宅や遺体安置所に安置します。ご逝去の翌日、ご逝去から24時間以上経過する時間帯で火葬場を予約。ご遺体を火葬場に搬送、火葬を執り行います。
直葬(火葬式)にかかる費用について
直葬(火葬式)にかかる費用は、従来の葬送スタイルよりもずっと安く抑えられます。地域や火葬までの日数によって異なりますが、相場は10~50万円程度となっています。具体的にかかる主な費用は以下の通りです。
- 火葬料金
- 火葬場での控室料金、飲食代
- ご遺体安置のための費用(安置施設使用料やドライアイス代)
- ご遺体の搬送料金
- 防水シーツ(搬送時に必要な専用のシート)
- 棺
- 骨壺
- 必要人件費(葬儀社による)
火葬料金は地域によって異なります。市町村が運営する公営火葬場では、火葬料金は故人が当該自治体の住民だった場合に0円~2、3万円です。しかし、私営の火葬場では火葬料金が約7、8万円かかる場合もあるので、火葬場によって費用が大きく異なることを覚えておきましょう。
また、ご遺体の安置にかかる費用は、ご逝去から火葬までの日数ごとに増していきます。ご遺体の搬送料金も、搬送の回数や搬送先までの距離によって費用の負担が大きくなるのが一般的です。
直葬(火葬式)のメリット
直葬(火葬式)は、もともと身寄りのない方の葬送スタイルとして一般的でした。しかし、メリットはたくさんあり、ご家族のいる方も直葬を選ぶ人が増えています。直葬のメリットとして代表的なものは、次の通りです。
費用を軽減できる
直葬にかかる費用は、約10~50万円が相場です。従来の葬送スタイルでは葬儀に約100万円以上かかることが多いので、金銭的な負担はかなり軽減できるといえるでしょう。
時間を短縮できる
お通夜や葬儀・告別式には二日間の中、たくさんの参列者が訪れます。また、仏教式の葬儀では僧侶に読経をしていただいたり、ご家族は悲しみのなか二日間参列者や宗教者に気を配らなければなりません。
一方、直葬では最期のお別れの数分、加えて火葬時間の60分~120分を経て終了となります。ご家族の精神的な負担を軽減できるでしょう。
直葬(火葬式)のデメリット
直葬(火葬式)にはデメリットもいくつかあります。直葬を検討する場合には、デメリットもしっかり考慮して決めましょう。代表的なデメリットは次の2つです。
故人の関係者からクレームがくる可能性がある
直葬という葬送スタイルでは、故人と最期のお別れをする人を限定することになります。本来であればお通夜や葬儀に参列して、故人を偲びたいと思っていた親戚や知人・友人など、故人に縁のある方から不満が出ることもあるでしょう。事前に関係者に説明したり、後から故人を偲ぶ場所を提供したりと、お通夜や葬儀を執り行うよりも大変になる可能性があります。
後悔する可能性がある
直葬はご家族にとって精神的・経済的な負担が少ない葬送スタイルですが、お別れの時間も短く従来の葬儀よりも簡素なイメージが強く残っています。このため、直葬を選んだものの、あとになってから「やっぱりちゃんとした葬儀をしてあげればよかった」と、思い悩むご家族もいらっしゃいます。
直葬(火葬式)の注意点
直葬(火葬式)で葬儀を行う場合には、次のような点に注意しましょう。
- 菩提寺がある場合には、納骨させてもらえるかどうか確認する
- 故人の関係者から理解を得られるように説明する
- 想定よりも費用がかかる可能性がある
一般の方が直葬を行うようになったのは、まだ最近のこと。このため、菩提寺からの理解を得られず、お墓や納骨堂への納骨を拒否されることもあります。また、同じく故人の親族や友人などのなかには、直葬というスタイルが受け入れられないという方もいるでしょう。関係者にしっかり説明して、理解してもらうことが大切です。
また、費用を抑えられるからと直葬を選んだのに、想定よりも高くなったという声も聞きます。葬儀社の直葬プランでは、プラン内に何が含まれていて、何に追加料金が発生するのかをしっかり確認しておきましょう。