自宅にご遺体を安置するには?

ご遺体の安置先は、「自宅」か「葬儀会社の安置施設」を選ぶ人が多いです。
自宅での遺体安置を選んだ場合、故人との最期の時間を慣れた自宅で過ごせるところが、自宅で遺体安置する利点でしょう。
しかし、自宅で故人との最期の時間を過ごしたいと希望しても、自宅の構造的に難しい時があります。また、ご遺体を安置するためには、事前の準備も必要です。今回は、自宅でご遺体を安置するときの条件やメリット・デメリット、必要な物品についてご紹介します。

自宅で遺体安置ができる3つの条件とは

自宅での遺体安置を、希望するご遺族もいるかもしれません。しかし、どの自宅でも遺体安置ができるわけではなく、遺体安置に適さない自宅もあります。ここでは、自宅で遺体を安置するための、3つの条件をご紹介します。

ご遺体の搬送が可能である

自宅で遺体安置を行なうためには、ご遺体が搬送できなければなりません。ご遺体の搬入経路が問題となることが多く、アパートやマンションの場合には階段しかなかったり、エレベーターが小さくてご遺体が入らなかったりします。
また、一軒家でも自宅前の道路が狭くて搬送車が入れないときや、玄関や廊下の幅が狭いときもご遺体の搬入が難しいです。さらに、アパートやマンションの規約によって、ご遺体の搬入が禁止されているときもあるので確認しましょう。

ご遺体の安置場所の確保ができる

ご遺体を安置するためには、3畳以上のスペース確保が必要です。
安置場所にはご遺体を寝かせるだけではなく、布団や枕飾りなどの場所も用意しなければなりません。
また、ご遺体の安置をしている期間に、弔問客が訪れる可能性もあります。そのため、弔問客が座ったり最期の別れをしたりする場所も作らなければならないため、ご遺体分のスペースに加えて周りの余裕も必要です。
安置場所として十分なスペースがあるかどうかは、自分で判断せずに葬儀会社のスタッフに相談しましょう。

遺体の面倒を見てくれる人がいる

ご遺体の安置をしているときは、常に誰かが付き添っている必要があります。なぜなら、ご遺体の管理だけではなく、ろうそくの火や線香の管理、弔問客への対応をしなければならないからです。
付き添う人は複数のご遺族で対応してもかまいませんが、ご遺族が高齢の方ばかりだと体力的に難しい可能性があります。もし、ご遺族が高齢のときや、協力してくれるご遺族がいない場合は、葬儀会社の安置施設を利用するのもひとつの方法ですよ。

自宅で遺体安置をするメリット

自宅で遺体安置をするメリットは、故人が住み慣れた自宅に帰してあげられる点です。最期は住み慣れた自宅で過ごしたいという、故人の願いを叶えられます。葬儀会社の安置施設に遺体安置をするときは、常に一緒にすごせるわけではありません。しかし、自宅での遺体安置であれば、ご家族と同じ空間で過ごせるため、いつでも故人と面会ができるところも自宅での遺体安置の魅力です。
自宅で遺体安置をするときは、安置施設に支払う費用を抑えることもできます。

自宅で遺体安置のデメリット

自宅の構造によっては、ご遺族が希望しても自宅での遺体安置ができないときがあります。
残念ながら、お亡くなりになった直後から、ご遺体の腐敗が進みます。基本的にご遺体はドライアイスで腐敗を防ぎますが、お部屋の温度管理に注意を払わなければなりません。
自宅でご遺体を安置するためには、自宅の前に搬送車を停車させたり、ご遺体の管理をするためにスタッフが訪問したりなど、自宅へ出入りする人が増えます。そのため、ご家族が亡くなったことを、ご近所の方に知られてしまう可能性もあるでしょう。

自宅でご遺体を安置する方法

ご遺体を自宅で安置するためには、スペースや物品の準備が必要です。故人が使っていた物をそのまま利用できるときや、新たに準備しなければいけない物もあります。
ここでは、ご遺体を自宅で安置する方法についてご紹介します。

安置場所を用意する

自宅でご遺体を安置する場合、仏間に安置するのが一般的です。しかし、仏間が無い住宅も増えてきていますよね。仏間が無い自宅では、座敷でもご遺体を安置できます。洋室しかない場合は、故人が使用していたお部屋でも問題ありません。
安置場所として、3畳以上のスペースの確保が難しいときは、リビングでもご遺体の安置ができます。特に、故人が施設で暮らしていたケースだと、生前に使用していたお部屋がないため、リビングでの遺体安置になる傾向です。

布団を用意する

ご遺体を寝かせるための布団は、故人が使用していた物でかまいません。もし、故人がベッドを使っていた場合は、ベッドでも問題ありませんよ。布団やベッドの向きを選べる場合は、仏教のときは北枕か西枕が一般的。しかし、向きを選べないときは、違う方角でも大丈夫です。
布団やベッドの柄に決まりはありませんが、シーツや枕カバーは新品の白い物で統一しましょう。
掛布団も故人が使用していた物で良いですが、ご遺体の腐敗を進めないためにも、薄めの物がおすすめです。掛け布団の向きは上下を逆にして、掛け布団の頭側が足元になるようにかけるのが、ご遺体を安置するときの特徴です。

ドライアイスの用意をする

ご遺体の腐敗を防ぐために、一般的にはドライアイスが使用されます。
ご遺体の腐敗は内臓からはじまることが多いため、下腹部を中心にドライアイスを当てます。顔周りはご遺族や弔問客から最も見られるため、特に変色を防ぎたいですよね。顔周りの変色を防ぐためには、首の下にもドライアイスを当てるといいですよ。
ドライアイスでご遺体を冷やし続けますが、室温を低く保つことがご遺体を少しでもきれいな状態でキープするためのポイントです。

枕飾りを備える

お供え物を置くための小さな祭壇を、ご遺体の枕元に用意する「枕飾り」。枕飾りには、白い布を被せた台か、白木の台を使用するのが特徴です。お供え物として、燭台、水、香炉、りん、花瓶、枕団子、一膳飯などが供えられます。
しかし、宗派によっては、食べ物を備えないなど独自のルールがあります。地域によってのルールもあるため、迷うときは親族に確認しましょう。地元の葬儀事情に詳しい葬儀会社のスタッフに、聞いても良いかもしれませんよ。