死亡後の手続き

身内が亡くなったとき、残された家族はさまざまな手続きをしなければなりません。主な手続きと、タイミングをご紹介します。

死亡後~葬儀告別式までに行う手続き

ご逝去から葬儀告別式までに行わなければならない手続きは、主に次の3つです。順番に解説します。

死亡診断書の受理

病院で亡くなった場合は、医師から死亡診断書を受け取ります。外出先や自宅など、病院以外で亡くなった場合には、警察による検死が行われ、その結果として死体検案書が交付されます。死亡診断書と死体検案書はどちらも書式は同じですので、受け取る際は対象者の名前、生年月日、ご逝去の日時、それぞれに誤りがないか、また、医者の押印があるか必ず確認しましょう。

死亡届の提出 火葬許可証の受理

死亡届はご逝去から7日以内に市町村役場に提出します。提出先は、届出人の所在地・死亡した人の本籍地・死亡した場所のいずれかの市町村役場です※。

葬儀内容を葬儀社と進めていかなければならず、さらに急を要するため、基本的には葬儀社のスタッフが提出を代行します。死亡届を提出すると、火葬許可証が発行されます。

※参照元:法務省公式サイト|死亡届

埋葬許可証の受け取り

火葬許可証は火葬後に「火葬済み」の印が押されて、埋葬許可証になります。納骨の際は埋葬許可証が必要なので、納骨までなくさないように保管しましょう。埋葬許可証は大切なものなので、骨壺を納めている木箱の中に保管されることがほとんどです。埋葬許可証を木箱から出したりせず、そのまま納骨時まで一緒に保管しておきましょう。

手続きの他、ご逝去後から葬儀告別式までに行うことは、こちらでより詳しく解説しています。

葬儀後、四十九日までにする手続き

葬儀後、四十九日までに行う手続きも多くあります。トラブルなく進められるように、事前に確認しておきましょう。

健康保険の資格喪失届

健康保険の資格喪失届は、通常、会社の人事担当者が手続きします。亡くなった方が世帯主だった場合、家族も健康保険資格を喪失することになります。家族の保険証も書き替えが必要です。亡くなった方が自営業の場合には、ご逝去から14日以内に、国民健康保険の資格喪失届を提出しなければなりません※。健康保険証を市町村役場に持参して手続きをしましょう。

※参照元:日本年金機構公式サイト|国民健康保険等へ切り替えるときの手続き

介護保険の資格喪失届

介護保険の資格喪失届は、ご逝去から14日以内に市町村役場に提出します※。同時に、保険証を返還しましょう。

※参照元:厚生労働省公式サイト|介護保険法( 平成09年12月17日法律第123号)

年金受給停止手続き

年金はご逝去した月の分まではもらえますが、受給資格はご逝去の翌日に喪失します※。国民年金はご逝去後14日以内に、厚生年金はご逝去後10日以内に年金受給停止手続きをしましょう。年金受給停止の手続きは、故人の住所地を管轄する年金事務所で行います。

※参照元:日本年金機構公式サイト|年金を受けている方が亡くなったとき

世帯主の変更

亡くなった方が世帯主だったときは、ご逝去後14日以内に世帯主の変更手続きをしなければなりません※。新しく世帯主になる方が、住民票のある市町村役場で手続きをします。手続きには次の3つが必要です。

  • 世帯主変更届
  • 届出人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 届出人の印鑑

※参照元:中野区公式サイト|世帯変更届

名義変更

故人の名前で電気・ガス・水道などの公共料金の契約をしている場合には、名義変更が必要です。それぞれの会社に、契約者が亡くなった旨を連絡して手続きをしましょう。

不動産や預貯金口座などを引き継ぐときも名義の変更が必要ですが、こちらは相続に関わるものです。相続が確定してから、すみやかに手続きをしましょう。

四十九日法要の手配

ご逝去から49日目に行う四十九日法要の手配を進めます。ご逝去から49日目が平日の場合には、直近の土曜日・日曜日などに法要をするなど、親族が集まりやすい日に行うのが一般的です。菩提寺がある場合には、日程について早めに相談しておきましょう。

香典返しの手配

香典返しは、忌明け後の四十九日法要から1ヶ月以内に渡すのが本来のしきたりと言われています。香典返しは御香典の3分の1から半額程度の品物を準備します。最近では、香典返しを葬儀の受付で渡す「当日返し」も増えています。当日返しの場合には、葬儀準備の段階で、香典返しも手配します。

葬儀、四十九日を終えてその後にする手続き

葬儀や四十九日法要を終えたあとも、やらなければならない手続きはあります。

その他役所での手続き

市町村役場で行うのは、主に葬祭費や埋葬料に関する手続きです。必ずしもやらなければならない手続きではありませんが、葬儀費用の一部が支給されるので、期限内にやっておくことをおすすめします。

葬祭費、埋葬料の受取手続きについて

葬儀を執り行った日から2年以内に葬祭費や埋葬費の申請をすると、葬儀費用の一部が支給されます。自治体によってことなりますが、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合の支給額は1~7万円です。例えば東京都中野区の場合は、葬祭を行った日の翌日から2年以内に申請をすると5万円が支給されます※。

組合健保や協会けんぽなどの被用者保険に加入していた場合には、勤務先で手続きをしてくれる可能性も。もしくは、加入している健康保険組合や年金事務所での手続きになるので、一度確認してみましょう。

※参照元:中野区公式サイト|後期高齢者医療制度 葬祭費の支給

民間サービスの手続き

民間サービスの手続きとして、相続のための手続きが必要となります。銀行口座の名義人が亡くなった場合でも、銀行に申請しない限り勝手に口座が凍結されることはありません。しかし、相続関連の手続きをする際に、名義人が亡くなったことを伝える必要があります。

遺産の相続

相続税は、故人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に申請を行わなければなりません※。このため、それよりも前に、故人の財産をすべて把握し、相続人にどのように分配するのかを決める必要があります。

※参照元:国税庁公式サイト|相続税の申告手続

故人の準確定申告

年の途中で亡くなった場合、故人の準確定申告を相続人が代わりに行わなければなりません。亡くなった日の翌日から4ヶ月以内に、故人の住所地を所轄する税務署で手続きします。故人が給与所得者の場合は、この手続きは必要ありません※。

※参照元:国税庁公式サイト|納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

相続税など税金に関する手続き

相続税の申告は、亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に行います。故人の財産に負債が多い場合など、相続放棄をする際は、亡くなった日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し入れをします。このため、葬儀が終わってから3ヶ月経たないうちに、プラスもマイナスも含めた故人の全財産を把握することが大切です。

この記事を監修した人
終活のグレイスサポート/行政書士法人松下崎山事務所
松下 愛
行政書士法人松下崎山事務所/株式会社グレイスサポート代表。横浜市生まれ。消費生活センター勤務の後、2018年に行政書士法人松下崎山事務所設立。2020年には終活専門のグレイスサポートを設立。

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