遺体搬送に関わる法律
更新日: 2023/10/13
遺体の搬送は葬儀社に依頼することが一般的です。ただ、おすすめは出来ないですが自家用車などを使用して搬送することも可能です。自分たちで遺体を搬送することは法律的に問題がないのか、遺体搬送に関する法令上の制限や遺体の安全管理についてまとめてみました。
自家用車での搬送は法律違反か?
現在、自家用車で遺体の搬送をすることを規制する法律はないため、身内の遺体を自家用車で搬送することは法律違反になりません。 ただし、自家用車で遺体を運ぶ際には、いくつか気を付けておきたいことがあります。
- 遺族が搬送を行うこと
- 死亡診断書や火葬埋葬許可書を携行する
遺族以外が遺体の搬送を行う場合は、貨物輸送車両の認可が必要です。
専門車両以外で遺体を搬送すると事件性が疑われることがあるため、証明する書類がなくてはなりません。
タクシーでの搬送は法律違反か?
タクシーで遺体を搬送することは、法律で禁止されています。 そもそも、遺体は法律上では「貨物」としての扱いになり、貨物の搬送には国土交通大臣からの「一般貨物自動車運送事業」の許可が必須。遺体を運べる事業車両は、緑のナンバープレートで「特殊用途自動車」に区分される8ナンバーに限られています。
また、介護タクシーというものがありますが、これは要介護者や自力で移動できない人向けの福祉車両で、訪問介護サービスの一種。遺体の搬送は行っていません。
自家用車で搬送する際、抵触する法律は?
感染症で死亡した場合は、死亡しても一定期間は病原菌が体内に残るため、感染症予防法30条という法律で遺体への接触が規制されています。 そのため、感染症によって亡くなった遺体を搬送するためには、特別な処理が必要となり、自分たちで遺体を搬送することはできません。 また、搬送中に遺体を損壊させてしまうと、死体損壊罪という罪に問われてしまう可能性もあります。
自家用車で搬送するリスク
自分自身で搬送することによって葬儀費用を抑えることができますが、さまざまなリスクを伴うことも念頭に入れておかなければなりません。 特に、遺体の搬送には不慣れな人が行うため、アクシデントなども起きやすく注意が必要です。
ご遺体の安全管理
遺体の搬送は、安全面に配慮して行わなければなりません。病院や施設では亡くなった際にエンゼルケアを施してくれていますが、それでも血液や体液が流出することがあります。 体液などが流出してしまうと車両の汚損だけでなく、感染症などの危険も伴います。遺体の衛生管理は十分な対策が必要です。
車に乗せるスペースの確保
遺体は寝かせて搬送するので、車両もある程度の広さが必要です。 葬儀社などは、遺体を搬送するための専用車両やストレッチャーなどを備えているため、スムーズに車両に乗せることができます。 しかし、自家用車には専門の設備等が整っていないため、荷室がフラットになることや、運ぶ人員も手配する必要があります。
車に固定させる手段
自家用車で搬送する際は、移動中に遺体を損傷させたり、体液が流出しないようにすることがポイントになります。 急ブレーキなどで搬送中に傾いてしまったり、振動などによって遺体が傷付かないようにしなければいけません。
上記のリスクを踏まえて
遺体を自家用車で運ぶことは法律上は可能、と言えますがおすすめは出来ません。故人様のお身体の保全や損傷を考えて専門の葬儀社に依頼することが何より安全です。 場合によっては故人様を傷つけてしまい、お葬式に悔いを残してしまいかねません。
また、搬送時にストレッチャーがなくとも棺を準備すればいいと思われるかもしれません。ただ、病院に棺を持ち込んでその場で納棺という流れも病院側が許可することは稀ですし、その時に合わせて棺を準備しておくことにも疑問が残ります。