亡くなった後のご遺体処置とは?
更新日: 2023/10/16
亡くなってからの流れについて何となく理解している人もいるかも知れませんが、遺体の処置や納棺などは、近親者が息を引き取って死亡判定を受けてから初めて経験するケースがほとんど。
葬儀まで遺体を安置するためには、衛生面はもちろん、見た目の美しさにも配慮しなければなりません。一体どのようなケアが必要となるのでしょうか。
逝去後に行わなければならない手続きや遺体の処置についてまとめて紹介しています。いざという時に落ち着いて対応できるように、一連の流れを確認しておきましょう。
病院で行う遺体処置
亡くなる人の多くは、病院で最期を迎えており、病院で臨終した後は主に4つの儀式を行ってから、安置する場所へ搬送します。病院で家族や身近な人が息を引き取った場合、逝去から納棺までの流れについて時系列で紹介します。
末期の水
末期(まつご)の水とは、亡くなる人を送りだす仏教の儀礼のこと。別名「死に水」とも呼ばれており、故人が死後の世界で喉が渇き苦しむことがないことを願うために行われます。
医師から臨終を告げられた後にその場に立ち会った人たちが枕元に集まり、故人との血縁関係の近い方から一人ずつ水を含ませたガーゼや筆を使って故人の唇を潤していきます。一昔前までは病院の中で行われていましたが、現在はこの儀式をやらないところがほとんどのようです。
清拭
病気やケガなどで入浴ができない人の体をきれいに拭き清めるために、お湯やアルコールを含ませたガーゼや脱脂綿で身体を拭くことを清拭(せいしき)と言います。
臨終後に行う清拭は、遺体を清めることを目的としており、看護師などの医療関係者によって行われます。
装着していた医療機器を医療従事者が外し、全身もしくは身体が露出している部分だけを拭いていき、その後、口や耳、鼻や肛門などに脱脂綿を詰めて処置は完了となります。
エンゼルケア
エンゼルケアは故人の最期にふさわしい姿にするために体を清め、身繕いなどをすることで、逝去後に行うケアのことを指します。
闘病中の跡や傷口などをカバーしたり、化粧を施したりすることで生前の姿に近づけていきます。個人の尊厳を守り、残された家族の心のケアを行うという意味もあります。
病院によっては死後に行う処置から清拭、お見送りするまでの家族のケアなどを含めた行為全体をエンゼルケアと呼ぶ場合もあります。
着替え
亡くなったら死装束を身に付けるイメージがあるかも知れませんが、ほとんどの病院では、エンゼルケアの際に行う着替えは、白い浴衣を着せて自宅や安置施設へ搬送するのが一般的。
しかし、一部の病院では故人が生前気に入っていた衣装や、家族の思い入れのある衣類などを着せるケースもあるようです。
浴衣などの着物に着替える場合は、男女を問わず「右前」で着るのが決まりとなっており、和服と洋服ではマナーが異なるので気を付けましょう。
安置後に行う遺体処置
日本では法律で逝去してから24時間経過しないと火葬することが認められていないため、葬儀や告別式までの間は遺体をきれいな状態で安置しなければなりません。
ご遺体の安置場所として、自宅や葬儀社の安置施設が一般的ですが、最近では遺体ホテルというご遺体安置のための専用施設もございます。
生前と同じような状態のまま死後の世界に旅立ってもらうために、どのような処置を行う必要があるのか紹介します。湯灌
湯灌(ゆかん)とは、納棺の前に故人を最後にお風呂に入れて、身体や髪を洗い清め故人の身なりを整える儀式です。
古くから行われている儀式で、故人が無事に成仏して来世に導かれるように、現世の汚れや悩みなどを洗い流すという意味と、霊魂を復活させるという呪術的な意味合いがあります。しかし、最近は清拭で済ませるケースが一般的となっていますが、遺族からの要望があった場合は遺族が立会いの下で葬儀社や専門業者のスタッフが行っています。湯かんについてもっと知りたい方は、下記ページもあわせてご確認下さい。
死に化粧
死に化粧とは、故人をきれいな状態で送り出すために、遺体を清め、身なりを整えたり化粧を施したりすること。葬儀に参列してくれた方に故人の安らかな顔を見ていただくという目的もあります。長い闘病生活で顔がやつれている場合は、頬に脱脂綿を含ませるなどしてふっくらとした表情に仕上げたり、男性はひげを剃って髪や眉を整えたり、女性は薄化粧を施したりします。故人が愛用していた化粧品があれば、それを使用することも可能です。死に化粧についてもっと知りたい方は、下記ページもあわせてご確認下さい。
死装束
死装束(しにしょうぞく)とは、仏教における巡礼者や修行僧の服で、故人がこの世で最後に着用する死後の世界への旅立ちの衣装。日本の葬儀は仏教式で執り行われることが多いため、故人に死装束を着せる慣習があります。しかし、故人の意思や遺族の意向によっては、死装束以外の服を着用することもできます。生前愛用していた服やお気に入りの服、よく身に付けていたものなど、従来の形式にとらわれず他の服装を着用するケースも近年増えてきています。
エンバーミング
エバーミングとは、遺体の腐敗を防いで衛生的に長期間保存するための処置で、「死体防腐処理」などとも呼ばれています。防腐処理を施す以外にも、キズなどを隠したり全身を洗浄することで遺体をきれいにする作業も行われるため、主に火葬までの日数がかかったり、怪我や事故などによって遺体が損傷している時や感染症を防止する場合などに施される処置になり、遺族がきちんと最期に故人を見送れるようにするという目的も兼ねています。エンバーミングについてもっと知りたい方は、下記ページもあわせてご確認下さい。