海外から、および海外への遺体搬送
更新日: 2023/10/13
海外への渡航中にご逝去された場合には、日本までご遺体を搬送しなければなりません。しかし、海外からご遺体を搬送するためには、国内とは異なる手続きや処置が必要で、費用もかなり高額です。ここでは、海外からご遺体を搬送する際の流れや必要な手続きを解説します。

日本人が海外で亡くなった場合
国によって葬儀の形式や弔い方は異なるため、日本人が海外で亡くなった場合には現地で葬儀を執り行わず、ご遺体を日本に搬送させるのが一般的です。
海外で亡くなった場合の流れ
海外で日本人がお亡くなりになり、日本にご遺体を搬送するまでの流れは次の通りです。
- 外務省から身内が亡くなった旨の連絡がご家族に入る
- ご家族が現地の在外公館に連絡し、今後の手続きなどを相談する
- ご家族が現地に赴き、本人確認や手続きを行う
- ご遺体のエンバーミング処置をし、納棺する
- 飛行機でご遺体を搬送する
- 日本国内の空港に到着後、依頼した葬儀社にご遺体を引き渡し、安置先に搬送してもらう
海外でご逝去された際は、ご家族が現地に赴いて手続きを行わなければなりません。言葉に不安がある方も、在外公館のスタッフが手続きのサポートをしてくれるので、早めに相談しておくことをおすすめします。
海外からの遺体搬送に必要な手続きは?
海外からご遺体を搬送するときに必要な手続きがあります。国内で亡くなった場合と異なるものもあるので、注意が必要です。
- 現地の医師による死亡確認と「死亡診断書」の受け取り(和訳された文書も必要です)
- 在外公館に「遺体証明書」を発行してもらう
- (現地で火葬を終えた場合は)在外公館に「遺骨証明書」や「埋葬許可証」を発行してもらう
- 業者に依頼し、日本からの搬送手続きの代行をしてもらう
- ご遺体にエンバーミング処置を施し、飛行機での移送ができる状態にする
国や地域によって、ご遺体の搬送に必要な手続きが異なります。すべての手続きを自分たちだけで行うのではなく、現地で日本へのご遺体の搬送に対応できる業者に依頼するのがよいでしょう。
海外から遺体搬送にかかる日数は?
海外からご遺体を搬送するのにかかる日数は、国や地域によって大きく異なります。たとえば、韓国や中国など、日本から比較的近い国であれば、フライト時間が1~3時間程度と短く済みます。
一方、直行便がないような、アフリカや南米などの国だと、フライトだけでなく乗り継ぎの時間も考慮しなければなりません。また、ご家族が現地の在外公館に赴かなければご遺体搬送に関する手続きは進められないため、より時間がかかると考えられます。
搬送時に必要なエンバーミングについて
海外からの搬送時には、ご遺体にエンバーミングという処置を行う必要があります。エンバーミングとは、日本語ではご遺体を衛生的に保存する特殊処置のことです。防腐・殺菌・修復を行うためことで、ご遺体を常温で長期保存できるようになります。 海外からご遺体を搬送するときは、航空会社の規定により、エンバーミングが必須です。このため、エンバーミングの技術がなく対応できない場合には、ご遺体の搬送が不可能になります。
海外からの遺体搬送に必要な費用は?
海外からご遺体を搬送するときに必要な費用は、お亡くなりになった場所によって異なります。しかし、総額で約100~150万円かかると考えたほうがよいでしょう。具体的な費用の内訳は次の通りです。
- 航空運賃:約15~50万円(国や地域によって異なる)
- 諸手続き代行・納棺・搬送費用:約50~70万円
- エンバーミング費用:約15~30万円
上に挙げた費用は、ご遺体の搬送のみにかかる費用です。ご家族が現地に赴き滞在し、帰国する費用は含まれていません。このため、総額ではもっと高くなることが予想されます。しかし、故人が海外旅行保険などに入っていれば、ご遺体の搬送やご家族の現地渡航にかかる費用の一部が保険金で補填されることもあるので、確認してみましょう。
外国人が日本で亡くなった場合
日本に滞在している外国人が亡くなったときの手続きをご紹介します。日本人が海外で亡くなったときと同様に、出身地にご遺体を搬送しなければならないケースもあるでしょう。手続きの流れや費用を解説します。
外国人が日本で亡くなった場合の流れ
外国人が日本で亡くなったときは、その方が帰化しているかどうかで手続きの流れが変わってきます。帰化している場合には日本人と同様の手続きが必要ですが、日本国籍を取得していない場合は次のような流れになります。
- 死亡診断書、もしくは死体検案書を受け取り、7日以内に死亡届を市町村役場に提出する
- 死亡届受理証明書を持参し、在留カードを返却する
- 出身国の大使館、もしくは領事館に故人のパスポートを持参して、ご遺体の搬送に関する相談や手続きをする
身寄りのない外国人の場合は、在留カードやパスポートをもとに、母国の家族に連絡が入ります。
日本から遺体搬送する際に必要な手続きは?
日本から出身国にご遺体を搬送するときは、次のような手続きが必要です。
- 出身国の大使館や領事館に相談し、ご遺体の搬送方法を相談する
- エンバーミング処置のできる業者に依頼する
- 故人のパスポート・死亡診断書・エンバーミング証明書を提出し、搬送業者に代行してもらう
日本ではご遺体は葬儀後に火葬するのが一般的です。火葬後に出身国に搬送する場合にはそこまで難しい手続きは必要ありませんが、故人の宗旨宗派によっては土葬を希望することもあるでしょう。故人が土葬を希望している場合には、ご遺体をそのまま搬送するため、出身国の大使館や領事館に相談のうえ、代行業者に依頼することをおすすめします。
日本から遺体搬送する際の費用は?
ご遺体を搬送する際の費用は、出身国によって大きく変わってきますが、費用の相場は100~150万円程度です。費用の内訳は次の通りとなります。
- 航空運賃:約15~50万円(国や地域によって異なる)
- 諸手続き代行・納棺・搬送費用:約50~70万円
- エンバーミング費用:約15~30万円
ご遺体搬送費用のなかで、航空運賃が大半を占めます。このため、ご遺体の搬送先によって、大きく費用は変わってきます。