湯かんとは
更新日: 2023/10/13
ご遺体をきれいにしたり、清めたりするために行なう「湯かん」。
湯かんは、浴槽にお湯を溜めて、亡くなった人をお風呂に入れてあげるような方法です。希望すればご遺族も湯かんに参加できるため、ご遺体を洗ったりお湯をかけたりすることで、故人への感謝や労いの気持ちを伝えられます。最後の時間をゆっくりと過ごせるのが、湯かんの魅力です。
ここでは、湯かんについての知識や、湯かんを行なう場所・費用についてまとめました。
湯かんとは
「湯かん(湯灌)」とは、故人をお風呂に入れて身体をきれいにしてあげること。湯かんは、身体をきれいにすることが目的の清拭とは違って、生前の苦しみなどからご遺体を清める大切な儀式です。
ここでは、湯かんの基本的な知識についてご紹介します。
湯かんを行う意味は?
湯かんは、ご遺体をきれいにするだけではなく、現世での悲しみやけがれを洗い流し、故人の来世について願う宗教的な意味合いも持ちます。
入浴が好きだった故人や、闘病によって生前はなかなか入浴できなかった故人もいるでしょう。湯かんを行なえば、最後に身体をきれいにしてあげたいというご遺族の希望を叶えられます。
さらに、ご遺体をきれいにして生前の様子に近づけることによって、残されたご遺族のショックを和らげる目的もあります。
湯かんは誰が行う?
湯かんは、葬儀会社の専門スタッフや、湯かん師によって行われます。ご遺族が湯かん師を探すのではなく、葬儀会社から紹介を受けるのが一般的です。ご遺体からの感染リスクを防ぐために、自分たちでは行なおうとせず、プロに任せましょう。
湯かん師に依頼した場合、担当者が必要な道具を用意。感染対策をしながら、湯かん師2人以上で湯かんを施します。
近年は、感染症予防の観点からも、湯かんよりご遺体を拭いてあげる「清拭」を選ぶご遺族が多い傾向です。
湯かんを行う場所は?
湯かんは、ご遺体を安置している場所で行なわれます。基本的には、ご自宅か葬儀会社の安置施設の場合が多いです。
湯かんに必要な設備が備えられている、葬儀会社の安置施設であれば特に準備はありません。ご自宅で行なうときは、広いお部屋である必要はなく、2〜3畳程度のスペースがあれば湯かんは可能です。また、カーペットや畳のお部屋でも、防水シートを敷いて対応します。
湯かんの流れ
まずは、湯かんに必要な浴槽の準備をします。お湯を注ぐときには、水を先に注いでからお湯を足して温度を調整する、「逆さ水」と言われる方法で行なうのが特徴です。
準備が整ったら、ご遺体のマッサージをして硬直をほぐします。そして、ご遺体を浴槽まで移動させて、足元→胸元の順番でお湯をかけてご遺体を清めます。ご遺族が湯かんに参加するときは、交代でお湯をかけてあげましょう。
その後、爪を整えて、洗顔・洗髪をして、ドライヤーで乾かしてから髪型を整えます。
着替えを済ませて、化粧を施せば湯かんの完了です。
湯かんの費用目安
湯かん費用の相場は、5〜10万円程度と言われています。
湯かん師や葬儀会社の専門スタッフのどちらに依頼しても、基本的には葬儀プランに湯かん費用は入っていません。そのため、葬儀費用に加えて湯かん費用の用意が必要です。
費用は葬儀会社によって違い、湯かんの内容やバスタブを使うか・使わないかでも金額が変わります。
湯かんは行うべき?
湯かんは、必ずしも行なう必要はありません。なぜなら、基本的には看護師や葬儀会社のスタッフによって、ご遺体をきれいにしてくれるからです。
しかし、ご遺体をきれいにするだけではなく、故人を労いながらゆっくりと一緒に時間を過ごせるため、ご遺族の満足度が高いのが湯かんの特徴です。さらに、湯かん師や葬儀会社の専門スタッフによる、「湯かん」という仕事に対する姿勢に感動するときもあります。そのため、予算や時間に余裕があるときは、湯かんを検討してもいいでしょう。