菩提寺がわからない場合の対処法について

昔は、同じ場所に住み続けてお墓を代々受け継いできたため、菩提寺を把握していた人が多かったと思います。しかし、近年は転勤に伴い住む場所が変わったり、信仰心が希薄になってきていたりするため、自分の菩提寺を把握していないケースも珍しくなくなってきています。菩提寺が分からないときは、どのように対処したらいいのでしょうか。

今回は、菩提寺が分からない場合の対処法についてご紹介します。

菩提寺(ぼだいじ)とは

「菩提寺(ぼだいじ)」とは、ご先祖様のお墓があるお寺のこと。菩提寺は時代によって呼び方が違い、「氏寺(うじでら)」や「菩提所(ぼだいしょ)」と呼ばれることもあります。菩提寺がある・分かるということは、そのお寺に所属している檀家であるということ。葬儀のときに、菩提寺以外に連絡して葬儀をあげるというのは、失礼にあたります。そのため、ご家族がなくなられたときは、所属する菩提寺に連絡して、お寺の宗派に合わせた葬儀を行ないます。

菩提寺(ぼだいじ)がわからない場合

以前とくらべて法事・法要に参加する機会が少なかったり、信仰心が薄くなっていたりと、自分の菩提寺が分からないというケースも珍しくありません。もし、菩提寺が分からない場合は、どのように確認したらいいのでしょうか。

家族や親せきに確認

最も簡単な方法は、家族や親族に確認する方法です。親族一同で同じ菩提寺に所属していることも、少なくありません。特に、複数の親族が近くに住んでいるときは、同じ菩提寺に所属している傾向にあるでしょう。そのため、家族に聞いても菩提寺が分からない場合でも、親族に聞いてみると分かるときがあります。

先祖のお墓があるお寺に確認

家族と連絡が取りにくかったり、親戚付き合いが乏しかったりすると菩提寺の確認ができない場合もあるでしょう。しかし、お墓の場所が分かれば、菩提寺が分かることもあります。なぜなら、菩提寺であるお寺が墓地を管理していることが多いためです。 そのため、もし連絡できる人がいなかったとしても、お墓参りなどでお墓の場所は記憶に残っているときは菩提寺が分かるかもしれません。

菩提寺がない場合の葬儀

家族や親族に聞いても菩提寺が分からないときや、亡くなった方が特に信仰している宗教が無いときもあります。さらに、菩提寺がもともと無い可能性もあるでしょう。

どうしても菩提寺が分からなかったり見つからなかったりするときは、どのように葬儀を行なえばいいのでしょうか。

仏教形式の場合、同じ宗派で葬儀社に手配を依頼することが可能

仏教形式を選ぶときは、菩提寺ではなくても葬儀社から希望する宗派のお寺を紹介してもらえます。まずは、紹介してもらったお寺に連絡してみましょう。しかし、檀家の葬儀が優先されるため、スケジュールの都合により断られる可能性がある点には注意が必要です。

お寺を紹介してもらうと、檀家にならなければいけないのかと不安になる人もいるかもしれません。お寺ごとにルールがあり、菩提寺にするためには檀家になる必要があるお寺もあります。しかし、葬儀社による紹介によって葬儀をお願いするときは、お寺の考えにもよりますが、必ずしも檀家になる必要はないようです。

檀家になるためには費用がかかりますが、法事などの相談ができたり、お墓の管理をしてもらえたりとメリットがあります。いざというときに慌てたくない人は、紹介してもらったお寺を菩提寺にするのもひとつのアイディアです。

無宗教や他宗教での葬儀が可能

菩提寺がどうしても見つからなかった場合や、亡くなられた人が無宗教の場合は、「無宗教葬」という方法もあります。

無宗教葬儀は、自由葬とも呼ばれていて、宗教の形式にとらわれない葬儀のことを指します。

仏教の葬儀では、読経や焼香、法話などを行なう仏教形式をとります。しかし、無宗教葬は、宗教的な形式にこだわらず、こだわりの葬儀をあげられる点が特徴です。たとえば、亡くなったご家族の写真を飾ったり動画を流したりできます。さらに、ご家族が好きだった音楽を流せたり、式の時間の割り当てを自由に決められたりと自由度が高い葬儀となります。

無宗教葬・自由葬を行なう上で、心配されるのが「納骨」と「戒名」。

亡くなった方が仏教徒のときは、基本的に菩提寺が管理しているお墓に納骨します。お墓は管理が必要で、引き継ぐ人がいないときはお墓を持つことをためらうかもしれません。お墓を持ちたくない人は、宗派や宗教が違っても納骨できる霊園もあるため、菩提寺が無いときは良い選択肢となるでしょう。さらに、無宗教葬儀・自由葬は、お墓を作らずに木の根元や海への散骨を選べるという魅力もあります。

散骨や霊園以外にも、お寺や霊園がお墓の管理をしてくれる「永代供養墓」という方法もあります。永代供養墓は、檀家になる必要はなく、決められた費用を支払えば納骨ができます。

戒名とは、仏教徒になった証として、葬儀を行なうときに必要になる名前のことです。菩提寺の住職から名付けられるのが基本ですが、無宗教葬儀・自由葬のときは仏教徒になるわけではないので戒名は必要がありません。しかし、戒名をいただきたい場合は、戒名授与サービスがあるので葬儀社に聞いてみるといいでしょう。

以前はお寺様とお付き合いのある菩提寺にお葬式をお願いすることが一般的でした。ただ昨今はお葬式にお寺様を呼ぶ仏教式、呼ばない無宗教式、とお葬式も多様化しております。