曹洞宗の葬儀
更新日: 2023/10/13
日本では仏教式の葬儀が一般的ですが、細かいマナーは宗派によって異なります。このため、葬儀を執り行ったり参列したりする際は、宗派の作法やマナーを知っておく必要があります。そこで、今回は禅宗の1つ曹洞宗の葬儀について、作法やマナーをご紹介します。

曹洞宗とは
曹洞宗とは、13世紀に道元が中国から伝えた禅宗の一派です。曹洞宗の教えでは、坐禅を行うことが重視されています。これは、お釈迦様が坐禅修行に精進した結果、悟りを開いたということに由来します。修行も「只菅打坐」という、日常生活のなかで坐禅を組むことが中心です。 ただ坐禅を行うというシンプルな教えは、鎌倉時代末期~室町時代初期に地方の豪族や農民から支持され、全国に広まっていきました。
曹洞宗の葬儀の特徴
曹洞宗の葬儀には、「故人が仏の弟子になって仏の世界に導かれる」という考えがあります。このため、前半では故人を仏の弟子にするための「授戒の儀式」を、後半では故人を仏の世界に導く「引導の儀式」を行います。引導の儀式では、太鼓やシンバルのような鳴り物を使って、チン・ドン・ジャランと音を鳴らすのが一般的です。荘厳な音によって、故人が仏の世界に導かれる様子を表現しています。
曹洞宗の葬儀の流れ
曹洞宗の葬儀は次のような流れで進みます。
- 導師入場
- 剃髪(ていはつ):故人を仏の弟子にするための儀式。導師がカミソリを持ち、故人の髪の毛を剃ります。実際には髪の毛を剃る真似をするだけで、本当に剃髪することはありません。
- 授戒の儀式:生涯で犯した罪を反省し、成仏を願います。お清めの水を手向ける「洒水(しゃすい)」、仏の教えを守って修行者に帰依することを誓う「三帰戒文(さんきかいもん)」、悪いことをしないと誓う「三聚浄戒(さんじゅじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)」などを行い、仏のもとへいく準備をします。
- 参列者の焼香:参列者が焼香を行う際に、僧侶は「入龕諷経(にゅうがんふぎん)」と「龕前念誦(がんぜんねんじゅ)」を読み上げます。
- 挙龕念誦(こがんねんじゅ):故人が穏やかな心であの世に行けるように、シンバルや太鼓のような鳴り物「鐃鈸(じょうはつ)」の音を響かせながら「大宝楼閣陀羅尼(だいほうろうかくだらに)」を唱えます。
- 引導:導師が故人の生涯を漢詩で唱え、線香で右回り、左回りに円を描いて故人に引導を渡します。最後に払子(ほっす)を振るうことで、邪気を払います。仏の弟子になった故人が、仏として覚醒できるように祈願するための読経で終了です。
- 導師退場
曹洞宗の葬儀のマナー
曹洞宗の葬儀のマナーは、ほかの宗派といくつか異なる点があります。とくに焼香の作法やお布施、参列する前に知っておきたいお香典について解説します。
曹洞宗の焼香作法について
曹洞宗の焼香は2回行うのが基本です。焼香の作法は次の通りです。 数珠を左手に持ち、焼香台の手前まで進み、ご本尊や遺影に一礼をします 焼香台へ進み、数珠を左手の親指以外の4本にかけて合掌礼拝します 右手でお香をつまみ、左手を軽く添えて額にささげたあと、念仏を念じて香炉に入れます(1回目の焼香) お香を右手につまんでそのまま香炉に入れます(2回目の焼香)
曹洞宗のお布施について
曹洞宗の葬儀でお渡しするお布施は、15~50万円が相場です。お寺の考え方や日頃の付き合い、地域によって適切なお布施の金額は異なります。また、戒名の位によっても金額は変わってきます。このため、お布施に包む金額に迷ったら、菩提寺の僧侶に伺うのがよいでしょう。
曹洞宗のお香典について
曹洞宗の葬儀に包むお香典は、一般的な仏式と同じです。表書きは「御霊前」もしくは「御香典」で、不祝儀用の水引を結んだ包みを使います。薄墨の筆ペンで、水引の下に氏名をフルネームで書きましょう。 お香典の相場は、友人であれば5,000~1万円、職場の関係者であれば約5,000円、親族であれば1~10万円ほどです。
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