家族葬について
更新日: 2023/10/16
親しい人だけで静かに故人を見送ることができる「家族葬」について、費用や流れ、メリットとデメリットについてまとめています。
家族葬とは
家族葬は、家族や親族、親しい友人だけで故人とお別れをする葬儀です。少子高齢化・核家族化が進んだことで、家族葬の希望が非常に増加しています。
葬儀の内容は一般の葬儀と変わりありません。例えば、仏式の場合、お通夜、翌日の葬儀・告別式・火葬など、流れは一般的な葬儀と同じです。
家族葬にかかる費用
家族葬は一般の葬儀よりも少人数の参列者で行われることが多いため、費用は一般葬より安くなる傾向があります。
しかし参列者が少ない分、 香典 も少なくなるので、実際の葬儀費用は一般の葬儀とあまり変わらないことも多くあります。そのため「家族葬=安い」とは容易には言えません。
また、葬儀の費用は、地域や斎場、参列者の数など、お客様ひとりひとりのご事情によって変動します。例えば葬儀会社のプランとして「家族葬一式○○万円」と明示されていたとしても、後から追加で火葬料金や、斎場使用料が加算されるケースは少なくありません。具体的な費用を知るには、見積をとり、プランの内訳や条件をよく確認すると良いでしょう。
家族葬の流れ
家族葬の流れは、基本的に一般葬と同じです。
- ご逝去
- ご搬送を葬儀社に依頼する
- 喪主の決定・死亡診断書の記入
- 日時・場所の決定
- 家族葬の内容を葬儀社と相談して、お見積りを決定する
- 式次第のお打ち合わせ
- 家族葬におよびする方への連絡
- 家族葬におよびしない方への連絡
- お通夜当日のスケジュール
- 告別式当日のスケジュール
- 関係者へのお礼やご挨拶
- 家族葬の後の役所関連お手続き
- 家族葬の後の四十九日法要、ご納骨
葬儀当日の流れについては下記をご確認ください。
一般葬より少人数のため、
- 式当日に受付を設けず喪主が香典を直接受け取る
- 通夜後の通夜振る舞いの席を全員で始める
といった対応を行うこともできます。
家族葬の弔電マナーや送り方のタイミング、注意点などについて紹介しています。また、遺族側の弔電辞退に関する対応についてもまとめています。
家族葬での供花マナーはこちらで解説。家族葬で供花を送る際の決まり事や注意点などを紹介しています。供花を受け取った遺族側の対応についてもまとめています。併せてご覧ください。
通夜なしの家族葬はできるの?
一般葬では行えませんが、家族葬であれば一日で完結する「一日葬」を執り行うこともできます。一日葬は、参列者の増える通夜を省略して、納棺・告別式・火葬を一日で行うタイプの葬儀です。一日葬の詳細についてはこちらで説明しております。
お通夜の本来の意味とは
お通夜とは、線香やろうそくの火が一晩中消えないようにして、故人と最期の時間を過ごす儀式のこと。お通夜の翌日に葬儀・告別式が行なわれるのが一般的です。しかし、お通夜から葬儀・告別式まで2日間の日程調整が必要があり、遠方の人や高齢の参列者にとって負担になっていました。
そのため、夕方から住職による読経を初めて、そのあとに弔問客を通夜料理でもてなしますが、その晩は泊まらずに解散するのが主流となってきています。
また、「寝ずの番」として夜通し線香やろうそくの火が消えないようにしていましたが、防災上の観点から寝ずの番を禁止している斎場が増えてきています。さらに、宿泊施設を設けていない斎場もあるため、故人と一晩中時間をともにする家族は少なくなってきています。
通夜なしの家族葬の流れ
お通夜をしない家族葬のスタイルで葬儀を行なうと、費用を抑えられたり、葬儀場に泊まったりするなどの負担を軽減できるでしょう。
お通夜を行わない家族葬では、まず故人を迎えに行きます。そして、ご遺体の納棺をおこない、告別式にうつります。その後、出棺して火葬を行ない、お骨上げという流れになります。
家族葬でも、告別式は一般的な葬儀と内容が変わらず、住職による読経や焼香が行なわれます。
費用が抑えられて喪主の負担が軽減されますが、菩提寺の考えによっては通夜なしの葬儀に対応してもらえないこともあります。また、亡くなった方と過ごせる時間が短いため、慌ただしい印象の葬儀になるかもしれません。一般的なお葬式と印象が違うため、後から親族から苦言を呈される可能性もあり、事前の説明が大切となります。
家族葬のメリット・デメリット
ここでは家族葬のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
家族葬のメリット
準備の手間を軽減できる
家族葬では、お香典を辞退するなど準備に関する手間を軽減できます。もし、お香典をいただく場合でも、その場でお返しをして葬儀後の負担を減らせます。
さらに、親しい人にのみ葬儀の連絡をすればいいため、亡くなられてから葬儀までの間に、急いで大勢に連絡する必要がないのが家族葬の魅力です。
家族葬の伝え方は下記ページでご紹介しております。目的別の連絡方法や伝えるべき内容についてまとめています。メールでの連絡や例文も掲載しています。
参列者の対応に追われない
一般的な葬儀では、多くの参列者が訪れます。身だしなみを整えて、頻繁には会わない人にもご挨拶が必要です。さらに、受付や会計の手配もしなければなりません。
しかし、親しい人たちで行なう家族葬では参列者が限られるため、たくさんのご挨拶や人員を手配する負担が軽減できるでしょう。
お別れの時間をゆっくりと過ごすことができる
大規模な葬儀の場合、葬儀の準備や参列者の対応などに追われて、故人とのお別れの時間が取れないケースもあるでしょう。しかし、家族葬であれば、葬儀の準備や参列者への対応の負担が少ないため、故人との最後の時間をゆっくりと過ごせます。
料金が安くなる傾向がある
一般的には、「葬儀費用」と「参列者の食事代」、「返礼品」を合わせた金額が葬儀にかかる費用となります。しかし、家族葬であれば、人数が少ないため食事代が抑えられて、返礼品の数を少なくできるため料金が安くなる傾向です。
ご遺族様の想いに沿った葬儀ができる
家族葬では、家族や親戚など、故人をよく知る人たちが参列します。そのため、参列者からの目を気にする必要が無く、自由度の高いお葬式を選べます。
一般的には実現しづらいようなことでも、家族葬であれば実現が可能でしょう。たとえば、故人が好きだった音楽を流したり、故人が好きだった物を祭壇に並べたりが挙げられます。
家族葬のデメリット
参列者の選別が難しい
家族葬は、親しい人に限定してお呼びして葬儀を行ないますが、どこまで声をかけるか悩む人も多いようです。「親しい人」と言っても基準があいまいで、どの程度のつながりの人まで声をかけるか迷うことでしょう。万が一、参列者の選別がうまくいかないと、呼ばれていないと批判されたり、故人が築き上げた人間関係に影響が出たりすることが予想されます。
葬儀後に訃報を知った方への対応が必要
一般的なお葬式では、故人と縁があった人は葬儀に参列して、別れを告げるでしょう。しかし、家族葬の場合は葬儀に参列できなかった人が、お線香をあげに自宅を訪問してくる可能性があります。自宅への弔問は、時間の調整が必要なため、対応する時間帯がバラバラになります。そのため、訪問客の対応に疲れてしまうかもしれません。
故人の交友関係が広くて弔問の数が多そうだと予想されるときは、一般葬にするものいいかもしれません。
家族葬への理解がないとトラブルにつながる
家族葬は、一般葬とくらべて馴染みが薄いかもしれません。そのため、親族からの理解を得るために、説明が必要なケースもあるでしょう。
周囲の人が不満に思うポイントは、「自分が呼ばれていない」「呼ぶべき人が呼ばれていない」など、参列者選びに関するものが多いです。
周囲の理解が得られるように、家族葬についてと、どこまで声をかけるかなどは、葬儀の前に話し合っておきましょう。
費用が安くすむとは限らない
食事代や返礼品の費用を抑えられるのが、家族葬の魅力です。しかし、参列者が少ないため香典が集まりにくい特徴があります。さらに、香典を辞退して葬儀を行なうときもあるため、一般葬とくらべて必ずしも自己負担額が少ないとも言えないようです。
交友関係の広さによっては、家族葬と変わらない規模で一般葬ができることもあります。そのため、家族葬と一般葬のどちらが自分たちに向いているかは、葬儀を行なう前に検討するべきです。
家族葬で香典を辞退したい場合の注意点や伝達のタイミングはこちらで詳しく解説しております。家族葬の香典辞退の際の文例についても紹介しておりますので、併せてご確認下さい。
家族葬と一般葬との違いは?
お通夜や告別式の流れはほぼ同じ。違いは葬儀に招く人の範囲です。
- 家族葬:家族・親戚など
- 一般葬:家族・親戚・故人の仕事関係・趣味のサークル仲間・近所の人など
家族葬は、「家族親族だけでゆっくりお別れする葬儀」。一般葬は「個人と生前付き合いのあった人との縁や地域の方のつながりを感じやすい葬儀」と考えるとよいでしょう。
身内だけの家族葬の場合の服装や宗教別の服装については下記でご紹介しております。家族葬に相応しい喪服の種類や髪形についてもまとめています。