精進落としとは
更新日: 2023/10/16
精進落としとは、葬儀後に行う会食のこと。地域によっては精進上けやお斎(おとき)、忌中祓い(きちゅうばらい)などと呼ばれています。
昔は、四十九日の忌明けの食事のことを精進落としと呼んでいました。しかし、時代と共に精進落としの食事の内容や目的、振舞うタイミングなどが大きく変化してきたため、現代では省略するケースもあるようです。
現在はどのような形式で行われているのか、精進落としの特徴や内容、マナーなどをまとめて紹介しています。

精進落としとは
本来、精進落としとは「忌明け」をもって精進した期間を終え、日常生活に戻るために行われてきました。
しかし、現在は四十九日の忌明けではなく、初七日法要を終えたことで精進期間を一区切りとする考え方が浸透し、初七日法要後に振舞われる会食のことを精進落としと呼んでいます。
また、近年は仏教的な要素よりも葬儀に参列してくれた方や僧侶に対し、遺族が感謝とねぎらいの気持ちを表す会食の場としての意味合いの方が強くなっています。
精進落としを行うのはいつ?
以前は故人が亡くなった7日後に初七日法要を行い、精進落としを行っていましたが、現在は火葬を行った後に精進落としを行うのが主流となっています。 主な理由としては、
- 遺族や親族の負担を軽減するために、初七日法要を火葬の後などに繰り上げて行っていること
- 故人の供養や参列者へのおもてなしの会食として捉えられている
精進落としの料理について
精進落としの料理も昔とは異なり、変わってきています。
一昔前までは魚や肉を使用ぜず、豆製品や野菜を使った精進料理が中心でした。しかし、現代では精進料理を食べる風習が薄れてきているため、料理のジャンルは自由。主にお寿司や懐石料理、仕出し弁当などが選ばれています。
お料理の相場はどれくらい?
葬儀の規模や手配する料理の内容にもよりますが、料理の相場は一人あたり大体3,000円~8,000円程度。一般的に火葬場まで同行した人が参加します。
手配をする関係上、事前に人数を確認しておく必要があるため、精進落としに参加して欲しい人には声掛けをしておきましょう。
精進落としをお願いする会場や店舗によっては、専用メニューや手土産付きのプランなどを用意しているところもあります。
参加する方々に対して失礼がないように、会場や料理の内容を選定するようにしましょう。
通夜振る舞いとの違い
葬儀で開催する会食の席には、精進落としの他に通夜振舞いというものがあります。
どちらも僧侶や参列者への感謝の気持ちを表し、故人を偲ぶという趣旨は同じです。ただし、開催されるタイミングや人数、料理形式などが異なります。
精進落とし
- 参加者:近親者や僧侶のみ
- 料理形式:個別のお膳など
- 時期:初七日法要の後
通夜振舞い
- 参加者:お通夜に参列した方
- 料理形式:オードブルなどの大皿
- 時期:お通夜の後
通夜振舞いの場合は、精進落としと違って参列者の人数が把握しにくいため、寿司桶やオードブル形式の料理が選ばれています。
お坊さんや故人の分も用意する?
精進落としの会食は、僧侶も含まれています。ただし、僧侶のスケジュールによっては出席を辞退される場合もあるので、その時は食事の代わりに御膳料をお渡しします。
故人には、陰膳(かげぜん)という一汁三菜の精進料理を用意します。地域や宗派によって作法に違いはありますが、基本的には会場の中央上座に故人の位牌と遺影を置いた壇を設け、そこに陰膳を供えます。
ただし、亡くなったらすぐに仏様になるという死の考え方をもつ浄土真宗では影膳は行われません。
精進落としを省略してもいいの?
僧侶や参列者に感謝を伝える場として行われている精進落としですが、近年は葬儀の縮小化やコロナウィルス感染症の影響もあり、しないケースも増えています。
精進落としを省略する場合は、僧侶や参列者への配慮が大切。僧侶への御膳料を用意したり、参列者に対しては精進落としの変わりにお弁当や返礼品などを配布することもあります。
この場合の返礼品は消えてなくなるものが良いとされているため、日持ちのする食べ物や飲み物などを用意しておきましょう。
精進落としのマナー
精進落としは、招待制にすることがポイント。参加してもらいたい人の都合を確認してから食事の手配をするようにします。
また、葬儀の時とは異なり、遺族や親族は僧侶や参列者をもてなす側なので下座に座ります。親族だけの場合は、喪主が入り口に近い席になります。
精進落としは、あまり時間をかけないのがマナー。故人の思い出話などをしながら1~2時間程度でお開きとなります。最後は喪主が締めの挨拶を行い、締めくくります。