納骨の流れ

従来は、納骨と言えば「お墓」に納める人が多かったですが、現在は納骨堂や樹木葬など選択肢が増えてきています。
納骨を行うためには、事前の準備が必要です。多様化する納骨方法の中から、故人やご遺族の希望に応じて納骨方法を決めます。また、必要な書類や物品を集めたり、菩提寺などへ連絡をしたりなど、スムーズに納骨するためには確認すべき項目があります。
今回は、納骨の流れや基礎知識、納骨の方法についてご紹介します。

納骨の流れ

納骨とは

「納骨」とは、骨壺に納められた遺骨を、お墓に納めて供養すること。
納骨は必ずしも行なう必要はなく、遺骨とともに自宅で生活しても問題ありません。しかし、故人を供養する意味を持つ納骨をすれば、ご遺族の気持ちのひと区切りとなるでしょう。

納骨を行う前に準備することは?

納骨を行うためには、どのような準備が必要なのでしょうか。納骨のためには、書類を集めるだけではなく、日程調整や墓石・お供え物の準備も必要になります。ここでは、納骨を行う前に、準備するべきことについてご紹介します。

納骨方法を決定する

納骨は、屋外のお墓に遺骨を納める方法を、思い浮かべるかもしれません。そのほかに、屋内施設を有する「納骨堂」に納める方法もあります。また、樹木の根元に納骨する「樹木葬」や、海や山に遺骨を撒く「散骨」寺院や霊園がお墓を管理してくれる「永代供養墓」なども選択肢のうちのひとつです。

納骨する日程を検討する

納骨に関しては、いつまでに終わらせるという期限がありません。一般的には、四十九日に納骨するときが多いですが、もっと遅くても問題ないです。
納骨は六曜(大安や仏滅などのこと)で避けるべき日が無いため、納骨のときにお声掛けしたい人たちの予定が合うときにしましょう。

菩提寺や石材店などに連絡をする

納骨をするときは、僧侶による読経をしていただきます。菩提寺との日程調整が必要になるため、自分たちだけで日程を決めるのではなく、候補日をいくつか挙げるようにしましょう。
お墓を建立するときに利用する石材店にも、事前に連絡するようにします。なぜなら、お墓の建立には数カ月かかることがあり、すでにあるお墓に戒名や没年を彫刻するときにも時間が必要だからです。

必要書類を用意する

納骨には、「埋葬許可証」が必要です。また、お墓に納骨するときは「墓地の使用許可証書」を用意します。埋葬許可証は、火葬をしたときに受け取れる書類で、役場から発行された火葬許可証に火葬執行済の押印がされています。納骨までに時間があるときは、紛失に気を付けましょう。

参列者を決定する

納骨の日時が決まったら、誰に参列してもらうかを考えます。納骨と法事を同時に行なうときは、法要と納骨、会食などの規模を先に決めると、誰に声をかけるか決めやすいですよ。
故人の知人や友人にも参列いただきたい場合は、案内状を送付すると良いでしょう。

お布施・お供えを準備する

納骨時には、読経を菩提寺の僧侶に依頼します。読経のお礼として、僧侶にお布施の用意が必要です。
納骨したときのお供え物として、故人の好きだった食べ物やお花を準備します。お墓などにお供えした物は、帰宅時に持ち帰るようにしましょう。

納骨当日の流れ

納骨の当日は、「喪主・施主のあいさつ」から始まり、「読経、納骨、焼香」、「会食」の流れで行なわれます。
喪主・施主のあいさつでは、参列者へのお礼の言葉や、遺族の最近の様子を伝えます。施主とは、四十九日の忌明け後に呼ばれる名前で、お布施をお渡しする人のことを指します。葬儀や法要を取り仕切る人のため、喪主と施主は同じ場合が多いでしょう。
会食の有無は喪主・施主の判断によります。一般的には僧侶も会食に招待しますが、辞退された場合は御膳代とお車代を同時にお渡しします。

納骨にかかる費用はどれくらい?

納骨にかかる費用は、法要に必要な費用と、お布施の費用に分けられます。
法要に必要な費用は、法要の場所を借りるために1~5万円程度、墓石に戒名などを彫刻するには3~8万円程度、カロート(お墓に付いているふた)の開閉は1万5千円~5万円程度です。
法要のお布施の相場は、2~5万円程度。地域や宗派によって違いますが、3万円程度を支払う人が多い傾向です。5千~1万円程度のお車代も必要なため、渡し忘れないようにしましょう。

納骨はしなくてもいいの?

納骨は、必ずしなければいけない儀式ではなく、ご遺族の希望で自宅に遺骨を保管していても問題ありません。自宅で遺骨を保管することを、「手元供養」や「自宅供養」と呼びます。故人を身近に感じられるため、手元供養や自宅供養を選ぶ人は増加傾向です。
また、遺骨を分けて保管することも可能で、一部はお墓に納骨し、残りは手元供養・自宅供養という選択もできます。しかし、もし手元にあった遺骨を納骨したくなったときは、「分骨証明書」が必要です。

納骨する場所も多様化してきている

お墓に納骨する以外にも、納骨堂や樹木葬など選択肢が増えてきています。故人が生前に納骨方法を希望するときや、管理の負担を軽減するためにお墓以外の選択をするご遺族もいるでしょう。お墓や納骨堂、樹木葬の違いについてご紹介します。

お墓に納骨する

一般的には、遺骨はお墓に納骨する人が多いでしょう。先祖代々遺骨を納めているお墓や、終活として生前から霊園の土地や墓地の準備をしている人もいます。
墓地と霊園の違いは、霊園は檀家になる必要がないのに対して、墓地の場合は運営している寺院の檀家になる必要がある点です。墓地を選び寺院の檀家になると、法要や納骨のときの読経をお願いしやすくなるメリットがあります。霊園は自由度が高い特徴があり、区画面積や墓石のデザインに決まりがありません。

納骨堂に納める

納骨堂とは、屋内のロッカーの様な空間に、遺骨を納められる施設のこと。納骨堂に遺骨を安置するときは、菩提寺などで納骨式を行なってから、契約した納骨堂に骨壺を運びます。 お墓を建立するより、納骨する費用は抑えられる傾向です。また、駅の近くに納骨堂があるときは、お墓とくらべてアクセスしやすいのも利点でしょう。しかし、利用期間が決められている納骨堂もあります。利用期間は契約によって違い、利用期間が終了すると合葬になるときもあるため、事前の確認が必要です。

樹木葬にする

樹木葬とは、樹木の根元に遺骨を埋葬する方法。樹木を墓標の代わりとしており、シンボルツリーとして桜やヤマツツジ、ハナミズキが好まれています。親族によるお墓の管理が難しい人に人気です。
埋葬する場所は自由に決められるわけではなく、運営している寺院や会社が決めた区画で行います。菩提寺で納骨式を行なってから遺骨を埋葬しますが、納骨式を省略するときもあります。そのため、無宗教の人にも、樹木葬は向いているかもしれません。