樹木葬のトラブル、失敗事例
更新日: 2023/10/13
「樹木葬」は、自然に近い形の納骨ができたり、残された家族や親族の負担が少なかったりすることから、検討する人も増えてきています。しかし、比較的新しい納骨方法のため、トラブルに巻き込まれたり、イメージと違って失敗したと感じたりするかもしれません。
ここでは、樹木葬の基礎知識やメリット・デメリット、トラブルや失敗事例、トラブルや失敗を防ぐためのポイントについてご紹介します。
樹木葬のトラブル、失敗事例
樹木葬のトラブルや失敗事例についてどんな事例があるのか具体的にご紹介いたします。
樹木葬に対して、家族や親族から理解が得られなかった
比較的新しい埋葬方法である「樹木葬」。一般的にはお墓に納骨する人が多く、墓石を建立して納骨するイメージを持つことが多いでしょう。そのため、馴染みの薄い樹木葬には、抵抗感のある家族や親族から、反対されるときもあります。契約後に反対されないように、事前の説明が必要です。
契約期間が延長できなかった
樹木葬は、初期費用を支払えば、その後の管理費がかからないところが魅力です。しかし、契約期間が決められていることが多く、納骨後に期間の延長ができないような契約もあります。そのため、お墓のように代々引き継ぐようなイメージとは、違う点に注意が必要です。また、契約期間が終了すると、合祀埋葬(他の人の遺骨と混ぜる方法)になる寺院・霊園もあるため、契約前に確認しましょう。
従来型のお墓参りができない
お墓参りをするときは、果物やお菓子などのお供え物を置いたり、線香を焚いたりします。しかし、樹木葬の場合は、お供え物や線香を焚くことが禁止されている場合があります。なぜなら、食べ物などのお供え物は、虫や動物を集めてしまいます。また、線香などは、火災を誘発するからです。そのため、一般的なお墓参りにこだわりがある家族や親族がいる場合は、お墓参り時の禁止事項について確認が必要です。
費用が想像していたよりも高額だった
樹木葬は、「永代使用料」や「埋葬料」、「年間管理費」が必要です。年間管理費は、無料の寺院・霊園も多く、契約時に永代使用料と埋葬料を支払えばその後は費用がかかりません。そのため、樹木葬にはお墓を建立するよりも、費用が抑えられる点がメリットとして挙げられます。
しかし、複数人の遺骨を納骨するなど、オプションを追加すると予想よりも高額になる傾向です。また、個別埋葬や家族埋葬を選ぶと、合祀埋葬とくらべて、費用は高くなります。
手入れが行き届いておらず、樹木が枯れてしまった
シンボルツリーを墓標の代わりとするため、手入れを怠ると枯れてしまうときがあります。また、シンボルツリーの周りの雑草などを放置していると、どれがシンボルツリーか分からなくなるときもあるでしょう。 シンボルツリーの周りは手入れされていたとしても、たどり着くまでの道中が荒れているケースもあるため、契約前に見学に行くことをおすすめします。
シンボルツリーのメンテナンスの負担が大きかった
個別埋葬を選んだ場合、墓標の代わりであるシンボルツリーのメンテナンスを自分たちで行なわなければならない寺院・霊園もあります。そのため、定期的にシンボルツリーの剪定が必要です。時間が経ち家族や親族が樹木葬の施設まで行くのが難しくなったときに、樹木の手入れが行き届かなくなります。
家族や親族の樹木葬に一緒に入れなかった
家族や親族の遺骨がすでに樹木葬に納骨されているときに、後から自分も一緒に入りたいと思うかもしれません。しかし、初回の契約時に納骨する予定の人数や人を登録して、後からの変更は不可としている寺院や霊園もあります。
さらに、契約後に延長できないケースもあるので、契約年数が短いときは注意が必要です。樹木葬を代々利用したいときは、最後の納骨から契約年数を数えてくれるプランを選ぶといいでしょう。
納骨した場所が分からなくなって、手を合わせる方向に困る
樹木葬は、他人の遺骨と区別せずに納骨する、合祀埋葬という方法があります。そのため、具体的にどの位置に納骨されたかが分からずに、どちらの方向に手を合わせていいか悩むときもあるでしょう。一般的なお墓にお参りをするときは、遺骨の方向に手を合わせられるため、遺骨の方向が分からないと困惑する家族や親族がいるかもしれません。
ペットと一緒に入る希望が叶わなかった
ペットの納骨に対応している樹木葬は、あまり多くありません。そのため、自分の納骨の契約をした後にペットの遺骨も埋葬したいと思っても、断られる可能性があります。もし、ペットの遺骨も一緒に埋葬したいときは、契約前にペットの納骨も可能か確認するようにしましょう。
樹木葬の許可を得ていない業者を選んでしまった
樹木葬を行なうためには、地元の自治体による「埋葬許可」が必要です。もし、寺院や霊園がその土地を所有していても、埋葬許可が無ければ樹木葬はできません。
埋葬許可には厳しい審査があり、審査に通っている場合は経営状況もしっかりとしているでしょう。しかし、無許可で経営している寺院や霊園は、経営状況も含めて永続性に不安が残ります。
季節によって変わる景観を予想していなかった
樹木や草花を墓標の代わりとして、自然が豊かなところに納骨できるのが樹木葬の特徴です。しかし、樹木や草花は季節によって見た目が変わるため、時期によって景観が大きく変わります。そのため、春や夏は樹木が生い茂っていて雰囲気が良くても、冬にお墓参りに行くと葉や花が落ちていて寂しい状態だったというケースもあります。
樹木葬とは
樹木葬とは、樹木などのシンボルツリーを墓標として、遺骨を埋葬する方法のこと。 樹木葬は、永代供養墓として扱われて、お墓の管理は寺院や霊園がしてくれます。そのため、墓守などの継承人が不要で、家族や親族の負担が減らせるため、樹木葬を選ぶ人が増えてきています。さらに、特定の信仰が無い無宗教の方でも納骨できるのが、樹木葬が人気の理由です。
樹木葬の形態・種類
樹木葬には、納骨する場所によって特徴があり、「里山型」「公園型」「庭園型」に分類されます。
里山型
里山型は、山間部などの自然が豊かな場所に、シンボルツリーを立てて納骨する方法。遺骨が土に還る、本来の姿に近い納骨です。シンボルツリーとして、すでに生えている木が使えるのも魅力です。
公園型
公園型は、散歩が楽しめるような公園に設置されている、シンボルツリーの根元に納骨する方法。ベンチなどの休憩できるスペースもあるため、散歩のついでにお墓参りができるのが特徴でしょう。
庭園型
庭園型は、都市部の交通アクセスが良いところに、シンボルツリーを植えて納骨する方法。ガーデニングの様な整った見た目の場所が多く、お庭やお花などを楽しみながらお墓参りができます。日本庭園の様な和風のデザインを、採用している寺院や霊園もあります。
埋葬方法
樹木葬の埋葬方法として、「合祀埋葬」「個別埋葬」「家族埋葬」があります。
合祀埋葬
合祀埋葬(ごうしまいそう)は、自分の遺骨と他人の遺骨を分けずに、不特定多数の遺骨をひとまとめにして納骨する方法。施設によっては、埋葬する穴を分けているところもあります。
個別埋葬
個別埋葬とは、シンボルツリーの根元に、自分の区画を用意して納骨する方法。他人の遺骨と混ざる心配がありません。土地が広い寺院や霊園のときに、個別埋葬が可能になる傾向です。シンボルツリーも個人で用意できるため、好きな樹木や植物を選べるときもあります。
家族埋葬
家族埋葬とは、集合型樹木葬とも呼ばれています。シンボルツリーは共用ですが、自分の区画を用意して、家族や親族と一緒に遺骨を埋葬できます。
メリット・デメリット
樹木葬のメリット・デメリットについてみてみましょう。
メリット
- 樹木の管理は寺院や霊園がしてくれるため、継承人が不要
- 樹木葬は、無宗教の方でも納骨が可能
- お墓を建立するより、費用が安い
- 本来の姿である、遺骨を土に還すことができる
- シンボルツリーの成長によって、年月が経った実感が得られる
デメリット
- 樹木葬をするためには、家族や親族からの理解が必要
- お供え物や線香・ロウソクを立てたりができないため、お墓参りしている感覚が薄い
- 遺骨を回収したくてもできない
- 自然豊かな場所に納骨するため、交通アクセスが良くない
トラブル・失敗を防ぐ方法・ポイントは?
樹木葬を選びたいときは、家族・親族の了解を得るようにしましょう。なぜなら、比較的新しい納骨方法のため、お墓を建立しない樹木葬に抵抗がある人もいるからです。特に、合祀埋葬の場合は、納骨すると他の人の遺骨と混ざるため、納骨後に遺骨の回収はできません。契約をする前に、家族や親族の同意を得る必要があるでしょう。
生前に終活として樹木葬を探しているときや、納骨まで時間の余裕があるときは、施設の見学に行くようにしましょう。ホームページやパンフレットの写真だけでは、実際の雰囲気がつかみづらく、納骨の段階になってイメージと違うということがあるかもしれません。また、自然に近い形である樹木葬のため、四季によって景色が大きく変わります。施設によって手入れがどの程度行き届いているかも違うため、実際に行ってみることが大切です。
足を運んだときに、利便性の確認も必要です。庭園型や公園型であれば、比較的アクセスがしやすい場所に設置されていることが多いですが、里山型の時は自然が豊かな山間部に納骨される傾向です。車の運転が必須だったり、公共交通機関ではたどり着けなかったりすると、家族や親族のお墓参りの負担になってしまいます。
契約をする前に、契約内容や料金の内訳を確認しましょう。樹木葬は期間が決められており、契約期間が終了すると合祀埋葬となる施設も多いです。また、樹木葬の契約後は、期間や人数が変更不可の場合もあります。そのため、家族分の遺骨を納骨したいときは、契約期間が短すぎないか、人数制限についても確認が必要です。