海洋散骨とは

時代の変化と共に供養の考え方も変化し、近年は多様な葬送スタイルが誕生しています。海洋散骨もその中のひとつで、日本でも選ぶ人が増えてきています。 そこで、まだあまり馴染みのない海洋散骨について徹底解説。海洋散骨の特徴やメリット・デメリットなどを紹介します。

海洋散骨のイメージ画像

海洋散骨とは

海洋散骨は火葬した遺骨を粉末状に加工し、海洋上に散骨して供養する自然葬の一種。お墓などに納骨しない埋葬方法で、海が大好きで死後は自然に還りたいという方に選ばれることが多いスタイルです。

生前から海洋散骨を希望しているケースが多く、個人の意向によって行われることがほとんど。 散骨する場合は、法律によって遺骨を2ミリ以下に粉砕することが義務付けられており、散骨する海域も地域によってルールがあります。そのため、海洋散骨を行う際は、専門の業者に依頼するのが一般的です。

海洋散骨の方法・種類

海洋散骨には、散骨の方法によって3つの種類があります。

個別散骨

クルーザー船を貸切って家族単位で個別に散骨を行います。定員の範囲内であれば、家族や親族も同行してゆっくりと最期のお別れを行うことができます。

委託散骨

遺族は同行せずに、全て業者に一任して散骨を行ってもらう方法です。ある程度の申込みが集まった時点で船をチャーターして散骨を行ったり、個別に代理で散骨するサービスを提供しているところもあります。

合同散骨

複数の家族が船に同乗し、合同で散骨するスタイルです。乗船できる人数が2名程度と決められていますが、散骨を見届けることが可能です。

海洋散骨は合法?違法?

結論から言うと、海洋散骨は法律で禁じられている行為ではないので違法ではありません。(2023年2月5日時点) ただし、自治体によって条例で規制されているエリアがあるので散骨を行う際には、規則やマナーに従って行う必要があります。
そのため、遺族が勝手にクルーザーなどの船を手配して行う行為は避けた方が無難でしょう。海洋散骨を行う場合は、トラブルを回避するためにも、その海域に詳しい専門業者に依頼することをおすすめします。

海洋散骨のメリット

海洋散骨ならではのメリットを紹介します。

経済的な負担を軽減できる

お墓や永代供養などと異なり、数万~数十万程度のコストで供養を行うことができます。散骨は維持費などもかからないため、継承者への負担もありません。

お墓の維持や管理の必要がない

お墓を所有すると、子や孫の世代に渡ってお墓の管理をしなければなりません。しかし、散骨であればお墓の管理等を心配しなくて済みます

宗教宗派を問わず供養できる

散骨の場合は、宗教宗派に関係なく行うことができます。故人の希望を尊重することが可能です。

海洋散骨のデメリット

海洋散骨で懸念されているポイントをまとめました。

遺骨を後世に残すことができない

遺骨はパウダー状になるため、全て散骨した場合は遺骨が残りません。そのため、当然ですが一度撒いてしまうと遺骨を回収することはできません。

お参りする対象物が曖昧になる

散骨すると明確なシンボルが残らないため、命日やお盆などの節目にお参りをしにくくなります。

周囲の理解が必要

故人が望んでいたとしても、古くからの習わし等を重んじている場合は、理解してもらえないケースもあります。

海洋散骨のトラブル事例をまとめましたので、こんなはずではなかったとならないためにも、あわせてご覧ください。

海洋散骨の流れ

海洋散骨の申込みから散骨までの一般的なスケジュールについて、詳しく紹介します。

  1. 相談・申込み
  2. 家族とよく相談をして行うことが肝心。業者への相談や申込みは生前から行うことができます。

  3. 遺骨を預けて粉砕してもらう
  4. 引き取りや郵送などで遺骨を業者に引き渡します。到着後、専門の機会で粉末状に加工します。

  5. クルーザーなどの船をチャーターして出航
  6. 散骨する海域まで移動します。同行する場合は指定された場所で乗船します。

  7. 散骨
  8. 目的地に到着後、散骨します。その後、献花や献酒、献水を行います。

  9. 黙祷を捧げる
  10. 追悼のために海域を旋回します。

  11. 寄港
  12. 散骨業者によっては、散骨後に会食を行うこともあります。

海洋散骨の費用についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

海洋散骨の注意点

海洋散骨は、まだ一般的な供養の形式ではないため家族や親族の中には抵抗を感じる人もいるかも知れません。 海洋散骨を検討している場合は、生前からしっかりと周囲に意向を伝えておくことが重要です。エンディングノートや書面などに残しておくと、亡くなった後も遺族間でスムーズに話し合いがしやすくなるでしょう。