納骨堂とお墓の違いは?

納骨堂は、従来型の屋外にあるお墓と違い、屋内に用意された納骨棚に納骨できる施設のこと。継承者が必要ない納骨堂の利用は、少子化が進む現代に合っている納骨方法のひとつでしょう。
今回は、納骨堂とお墓の違いや、メリット・デメリットについてご紹介します。

納骨堂とお墓の違い

そもそも納骨堂とは

納骨堂とは、屋内に用意された納骨棚に納骨する方法。共用部分や施設のメンテナンスを代行してくれるため、継承者がいない人や家族に負担をかけたくない人に選ばれています。
納骨堂には、「ロッカー型」「マンション型(自動搬送式)」「仏壇型」「棚式型」の4つのタイプがあります。

納骨堂とお墓の5つの違い

納骨堂とお墓には、5つの違いがあります。具体的には、「遺骨の安置期間」「納骨する場所」「費用」「メンテナンスの有無」「お参りの方法」です。
ここでは、納骨堂とお墓に関する、5つの違いについてまとめました。

ご遺体安置期間が違う

納骨堂は、契約期間が終了すると、他人の遺骨と合わせられる合祀(ごうし)埋葬となります。遺骨の安置期間が設定されていない一般的なお墓では、継承者がいる限り代々引き継ぐことが可能です。
納骨堂の契約期間は、最後の年忌法要を指す「弔い上げ」と同じである33年とされている施設が多いです。仏教的には、33回忌を迎えると、どんな人でも極楽浄土に行けると考えられています。

遺骨を納める場所が違う

4つのタイプに分かれている納骨堂ですが、基本的にはロッカーのような棚に納骨します。一方、お墓はカロートと呼ばれている墓石の下の空間に納骨となります。
納骨堂は屋内施設のため、遺骨が濡れたり汚れたりしません。しかし、屋外に設置されているお墓は、カロートの扉や水抜きなどが付いていますが、湿気がこもっていて遺骨が濡れる時もあります。

費用が違う

納骨堂は、墓石を立てる必要がないため、費用が抑えられます。1人分の遺骨を納骨堂に納骨するときは50万円程度、家族分を納骨するときは100万円程度が相場です。
一般的なお墓を立てるためには、墓石を立てるための材料費・彫刻料・設置工事費用を合わせると100〜200万円程度かかります。また、土地を使う権利を手に入れるために、永代使用料も必要です。

メンテナンスの有無が違う

共用部分や建物のメンテナンスを、お寺や霊園のスタッフが代行してくれる納骨堂。屋内施設なので、自分の区画が雨や風にさらされず、納骨棚の中のみ整えておけばいいため、お墓とくらべて手入れが必要ありません。
一般的なお墓は、区画が決められているため、周囲の人に気を遣わずにお参りができます。しかし、屋外に設置されているため、墓石を磨いたり、墓石周辺の草むしりが必要です。

お墓詣りの仕方が違う

屋外にあるお墓は、昼夜を問わずにお参りが可能です。しかし、納骨堂はお参りの時間が決められており、時間外は鍵がかけられていて施設内には入れません。
納骨堂は、お参りの方法も決められており、ロウソクや線香のような火を使うお参りは禁止されていることが多いです。仕切りで区切られているような参拝ブースがある施設では、お墓と同じ方法でお参りができるときもあります。

納骨堂・お墓それぞれのメリット・デメリット

納骨堂とお墓には、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらを選んだとしても、納骨後にイメージと違ったなどと後悔したくはないですよね。
ここでは、納骨堂とお墓のメリット・デメリットについてまとめました。

納骨堂のメリット

納骨堂のメリットは、継承者がいなくても納骨できるところです。納骨堂は、屋内施設であり共用スペースは、運営会社であるお寺や霊園が掃除やメンテナンスを行ないます。そのため、もしお墓を管理する人がいなくなっても、無縁墓になる心配はありません。さらに、立地が良い施設が多く、天気や季節に左右されずにお参りができる点も魅力です。

納骨堂のデメリット

納骨堂は、お参りの方法が決められていることが多いです。お線香やローソクが立てられなかったり、お参りの時間が決められています。また、お供えする物が制限されている施設もあります。
納骨棚は自分だけの専用の区画ですが、基本的にはお参りのスペースは共用です。お盆などお墓参りをする人が多い季節は、混み合うときもあるでしょう。

お墓のメリット

永代使用料を支払えばお墓の土地の使用権利を長期間保有できるため、代々継承していけるのがお墓の魅力。納骨堂のように契約期間が設けられていないため、代々継承ができます。
お墓ごとに区画が用意されているため、繁忙期でもお参りのためにゆったりとしたスペースが確保できるでしょう。屋外のため自分が望むようなお参りが可能で、食べ物やお酒、タバコなどのお供えもできます。

お墓のデメリット

お墓は、屋外に設置されているため、雑草や墓石の手入れをしないと、無縁墓となり荒れてしまいます。そのため、お墓の管理ができる継承者を考えなければなりません。
さらに、墓石の購入が必要なため、納骨堂よりも高額です。墓石の質や種類、石の使用量、加工方法で金額が大きく違います。国産の墓石や、複雑な加工を選ぶと費用が高くなる傾向です。

納骨堂とお墓、どちらを選ぶべき?

納骨堂とお墓は、屋内施設か屋外施設か、継承者の必要性など、それぞれ特徴があります。納骨堂とお墓のどちらを選ぶべきかは、家族の考え方や生活スタイルによって違うでしょう。
ここでは、納骨堂とお墓のそれぞれに向いている方についてまとめました。

納骨堂に向いている方

お墓の継承者がいないときや。残された家族や親族に負担をかけたくない人は、納骨堂に向いているでしょう。また、費用もお墓を立てるより、納骨堂を選んだ方が安く抑えられます。
納骨堂は、お墓とは違い納骨期間が決められていて、最終的には合祀(ごうし)埋葬されるため、他人の遺骨と混ぜられるのが特徴です。お墓のような代々引き継がれる納骨方法ではないため、家族や親族からの同意を得ておきましょう。

お墓に向いている方

長年親しまれている納骨方法のため、伝統や昔ながらの納骨方法を重視する人にお墓は向いているでしょう。また、お参りの方法や時間が決められていないため、お参りの方法にこだわりがある人にも適しています。
お墓は、手入れをしていないと荒れてしまうため、継承者を確保できるかはしっかりと確認しましょう。もし、継承者の確保が難しいときは、新しいかたちの納骨方法を検討してもいいかもしれませんよ。