喪主挨拶について

喪主挨拶とは、お通夜や葬儀の際に喪主が参列者に対して話すスピーチのことです。葬儀における喪主の仕事としては大きな役割ですが、人前で話すのが苦手な方にとってはとても緊張するものです。

そこで、喪主の挨拶で話す内容や失敗しないためのスピーチのポイントをご紹介します。

喪主挨拶とは

喪主挨拶とは、故人や遺族を代表して参列者に伝えるお礼の言葉です。故人が生前お世話になったことや葬儀に参列してくれたことなどを、参列者に感謝するスピーチと考えればよいでしょう。

喪主挨拶は、一連の葬儀のなかで何度も話すタイミングが訪れます。このため、その時々の場面にあったスピーチを考えることが必要です。

喪主挨拶のタイミング

喪主挨拶は、一連の葬儀のなかで何度も話すタイミングがあります。主な場面としては、通夜振る舞い・出棺時・精進落としが挙げられます。それぞれの場面で話すべきポイントをご紹介しましょう。

通夜振る舞い

通夜振る舞いの挨拶は、通夜振る舞いの最初に行うケースがあります。ただ、一般葬の場合は会葬者を先に通夜振る舞いの席へと案内するため、家族葬のように全員揃ってから始まるケースに限定されます。

このケースの挨拶では、お通夜に参列してくれたことへのお礼や故人の最期の様子、通夜振る舞いの案内を盛り込んだ話をします。

告別式(出棺)

告別式では、式の最後である出棺の際に喪主挨拶を行います。 喪主挨拶では、次の内容を盛り込みます。

  • 葬儀に参列してくれたことへの感謝
  • 故人の生前や最期の様子
  • 故人を亡くした家族の気持ちや今後への決意など

出棺は参列者全員が揃う場面です。このため、参列者全員に対して参列や生前お世話になったことへのお礼をしっかり伝えるようにしましょう。

精進落とし(お斎)

精進落としとは、葬儀がすべて終了したあとに遺族と参列者とでいただく食事のことです。宗教によっては「お斎(おとき)」とも呼ばれます。

精進落としでは、開始時に献杯を行うのが普通です。献杯の際は、無事に葬儀が終わったことを報告し、宗教者や参列者に感謝を述べます。この献杯の際は、喪主ではなく喪主の兄弟や別の親族が担当するケースもあります。閉会の挨拶では、再度葬儀についてのお礼、散会の案内をします。

喪主挨拶の例文

喪主挨拶は話すタイミングによって、内容に盛り込むべき事柄が異なります。このため、挨拶文を考えるときは要点をおさえ、例文を参考にするとよいでしょう。それぞれの場面での喪主挨拶の例文をご紹介します。

通夜振る舞い

通夜振る舞いの際の喪主挨拶の例文をご紹介します。

通夜振る舞いの前

「皆様、本日はお忙しい中、亡き〇〇(故人)の通夜にご参列いただきまして心より御礼申し上げます。ささやかではありますが、食事を準備いたしました。お時間の許す限りお食事を召し上がりながら、故人との思い出話をお聞かせいただけたらと存じます。本日は誠にありがとうございました」

通夜振る舞いの後

「皆様、本日はお忙しいところ、〇〇の通夜にご参列いただきまして、誠にありがとうございました。皆様より話を伺いまして、故人が皆様にいかにお世話になってきたのかを知ることができました。皆様が本日集まってくださったことに〇〇もさぞかし喜んでいることと存じます。 名残惜しくはありますが、夜も更けてまいりましたので、本日はこの辺でお開きにさせていただきます。明日の葬儀は△△時より◇◇斎場にて執り行いますので、お時間がございましたら何卒ご参列くださいませ。それでは、本日は本当にありがとうございました」

告別式(出棺)

告別式の最後、出棺時の喪主の挨拶の例文をご紹介します。

「皆様、本日はお忙しいところ亡き父〇〇の葬儀にご参列くださいまして、誠にありがとうございました。父は生前とても社交的で、人と会うのが好きな人間でした。このようにたくさんの方に集まっていただけて、きっと父も喜んでいると存じます。おかげさまで、昨夜の通夜式と本日の葬儀を滞りなく終えることができ、これから出棺の運びとなりました。残された家族一同、父亡きあとも皆様には生前同様のお付き合いをいただき、ご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」

精進落とし(お斎)

精進落としの際の喪主挨拶の例文をご紹介します。

「皆様、亡き父○○のために、本日は長時間お付き合いをいただきまして誠にありがとうございました。皆様にしていただいた父の思い出話は興味深く名残惜しいのですが、本日はこの辺でお開きにしたいと存じます。残された家族一同、父亡きあとも助け合って生活していくつもりです。これまでと変わらず、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。皆様、どうぞお気をつけてお帰りくださいませ」

気を付けるポイント

喪主挨拶では使ってはいけない言葉や、気を付けたい言葉遣いがいくつかあります。挨拶文を考えるときに気を付けたいポイントをご紹介します。

忌み言葉

葬儀では「忌み言葉」と呼ばれる縁起の悪い言葉を使わないようにしましょう。忌み言葉の種類と主な例は次の通りです。

  • 重ね言葉(ますます・次々・重ね重ね)
  • 不幸が続くことを連想させる言葉(再び・また・引き続き)
  • 縁起の悪い言葉(消える・落ちる・苦しむ)
  • 生死に関する直接的な表現(死ぬ・生きる・死亡)

通常の挨拶では使いがちな言葉も含まれているので、注意しましょう。生死に関する直接的な表現を避けるために、死亡のことを「逝去」、急死を「突然のこと」と言い換えるのが一般的です。

宗教の違い

よく葬儀で使われる言葉でも、宗教によっては使わないものがあります。宗旨宗派によって細かいルールがあるので、迷ったときには宗教者に確認しましょう。具体的には次のような言葉が挙げられます。

  • 天国(キリスト教で使われる言葉なので、仏教では使用しない)
  • ご冥福(浄土真宗やキリスト教では使用しない)
  • 成仏・供養(すべて仏教用語なので、キリスト教や神道では使用しない)

時間

喪主挨拶は簡潔にまとめて、長くても3分以内に収まるようにします。挨拶文を考えているうちに、故人との思い出や参列者に伝えたい言葉がたくさん出てきてまとまらなくなることもあるかもしれません。

長い挨拶だと参列者が飽きたり疲れたりしてしまうので、挨拶文を考えたら一度口に出して読んでみて、時間を測ってみるとよいでしょう。

お葬式前後での挨拶

喪主は参列者全員の前だけでなく、個別に挨拶することもあります。とくにお通夜や葬儀の前後は、参列者が喪主にお悔やみの言葉をかけてくれることが多く、その際は次のように返事するとよいでしょう。

  • お忙しい中ありがとうございます(いつでも使える挨拶)
  • お足元の悪い中ありがとうございます(悪天候の際に使える挨拶)

喪主挨拶で大切なこと

ここまで様々なケースで喪主挨拶をご紹介してきましたが、一番大切なことは、自分の言葉で話すことです。故人とのエピソードも具体的であればあるほど会葬者の方に伝わる挨拶になりますし、多少言葉遣いが乱れたり、感情的になっても気にされないでください。

喪主挨拶には喪主の気持ちを整理する役割もあると考えてますので、大切な方を見送る気持ちを第一に考えてみてください。

喪主のやることについて詳細を知りたい方は、こちらでご確認くださいませ。