死後事務委任契約とは
更新日: 2023/10/27
死後事務委任契約を結んでおけば、亡くなった後の医療費や公共料金の支払い等の一連の事務手続きを第三者に委任しておくことができます。
亡くなった後に必要となる事務手続きは通常親族が対応することが前提となっています。そのため、身近に頼れるご家族がいない方・ご家族がご高齢である方におすすめです。
死後事務委任契約と他の制度との違い
遺言書との違い
遺言書は、主に財産の処分方法と相続人の身分関係の確定において法的効力を持ちます。
そのため、葬儀に関する事柄や行政手続きを誰に任せるかなどを生前にきちんと決めておくためには死後事務委任契約が必要となります。
任意後見契約との違い
任意後見契約は、本人が生きている間のみ有効です。そのため、死後に行わなければならない事務については効力がありません。
任意後見契約と死後事務委任契約は一緒に結んでおいたほうが良いでしょう。
死後事務委任契約の見本
以下のサイトから、見本を参照してみてください。
死後事務委任契約でできること6選
病院・施設の退去手続き
入院費用の清算、施設などの利用契約の解約、医療費の清算などをまとめて委任しておきましょう。
相続人や関係者への連絡
亡くなった後に伝言がある場合にも、生前に内容をまとめておくと良いでしょう。
葬儀、埋葬の手配
希望する葬儀方法や埋葬方法などを事前に書き出しておきましょう。
葬儀を主催する人がいない場合、市町村が遺体を引き取り埋葬または火葬をすることになっています。しかし、あくまでも火葬して埋葬するだけなので、個別にお墓をたててもらうことはできません。
住まいや家財に関すること
アパートやマンションなどで暮らしていた場合、家賃が未納状態になってしまいます。また、家財がそのまま残された状態では、大家や管理会社が処分に困ってしまいます。
行政手続き
死亡届の提出や、年金受給の停止、公共料金・税金の支払い、健康保険証や介護保険証の返納などの事務を委任しておきましょう。
デジタル遺品の整理、消去
デジタル遺品を放置していると、データの流出だけではなく、そのままになっているアカウントが乗っ取られ、悪質なサイトの入り口として使われてしまうというリスクもあります。
死後事務委任契約の流れ
契約をするタイミングを決める
認知症が突如発症し、判断能力が著しく低下する可能性も考えられます。
不備が生じないよう、健康状態や判断能力に問題ない時期に委任しておきましょう。
委任内容を決定する
死後事務委任契約で委任できることは多くあります。要望を明確にして、委任し忘れたという事項がないようにしましょう。
必要書類をそろえる
- 印鑑登録証明書と実印
- 自動車運転免許証と認印
- 写真付き住民基本台帳カードと認印
- 写真付き個人番号カードと認印
いずれか1つのセットで問題ありませんが、印鑑登録証明書は3ヶ月以内に取得したものが必要です。また、委任者と受任者それぞれが準備しなければなりません。
公正証書で契約書を作成する
公正証書は公証人が文章を書きます。契約書の内容は、公証人に意向を伝え相談しながら決めます。下書きなどがあれば、持参しましょう。
契約書の作成前に、公証人が本人の前で内容を確認してくれるので、漏れやミスを防ぐことができます。
死後事務委任契約の注意点
預託金のトラブルが発生する可能性がある
span class="text-bg">預託金とは、死後事務委任契約を執行する費用を契約時に予め預けておくことです。受任者が預託金を不適切に使用してしまったり、預託金を預かる受任者が倒産したりした場合には、預託金が返還されない可能性があります。
受任者が先に亡くなってしまう可能性がある
死後事務委任契約を個人の受任者と締結する場合は、受任者の専門家が委任者よりも先に亡くなってしまうリスクがあります。受任者が先に亡くなると、委任事務が執行されないということを頭に入れておいてください。
最後に
「亡くなった後のことどうしよう…」と不安に思う方も多いと思います。特に、身近に頼れる人がいない方はもっと不安なはず。
死後事務委任契約を締結することで、死後の手続きを滞りなく進めてもらうことができます。今のうちから準備して余計な不安は取り除いていきましょう。