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生活保護受給者の遺品整理について知っておくべきこと

生活保護を受給している人が亡くなった場合、その遺品整理は誰が行うのか、費用負担はどうなるのか、手続きはどのように進めるのかといった問題が浮上します。また、生前に整理をする場合もあるかもしれません。今回は、生活保護受給者の遺品整理について、必要な情報をまとめました。

生活保護の遺品整理

生活保護受給者が死亡した場合の遺品整理とは

アパート退去費用について

生活保護制度は、あくまでも日常生活において必要最低限の生活を保証するための制度になります。そのため、引っ越し費用は支給されますが、退去費用は自己責任となるため支給対象外。生活保護受給者が亡くなった際も、国や自治体は住居の撤去費用の負担は行っていません。
基本的に生活保護受給者が逝去した際のマンションやアパート等の退去費用をはじめ、原状回復費用や住居の片付けにかかる費用は全て自己負担。遺品整理時には退去時の費用がかかることも念頭に入れておきましょう。

遺品整理の費用負担は誰がするのか

そもそも、生活保護の補助金は受給者が死亡した時点で支給されなくなります。遺品整理は遺産相続に関わる作業となるため、費用の請求先として1番最初に責任を負う義務があるのは相続人です。相続人が複数人いる場合は、各相続人で費用を分担します。
相続人がいない場合は、生活保護受給者の連帯保証人が遺品整理を行う義務があるため、連帯保証人が責任を負います。連帯保証人が亡くなっていたり、連帯保証人なしの賃貸物件だった場合は、住居の管理会社が費用を負担することになります。

生活保護受給者の遺品整理と注意点

遺族がいない場合の手続き

遺品整理は親族を中心に行われることが一般的。しかし、生活保護受給者の場合は、遺品整理等を行ってくれる親族がいないケースも珍しくありません。生活保護受給者が亡くなったら、まずケースワーカーか役所の福祉係に連絡をしておきましょう。

遺品整理の手続きと必要書類

故人が生活保護を受給していても、相続の手続きは必要です。遺品整理を行う前には遺書や遺言状、エンディングノートなど、故人の最後の意思が記されているものが遺されていないかを必ずチェックしておきましょう。

注意すべきポイント

遺品整理を行う際、相続放棄をしたい場合は要注意。不用品であっても勝手に遺品整理を行ってしまうと、遺産を相続する意思があるとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。
また、自分が故人の相続人であることを知ったときから3ヶ月以内に手続きを取らないと、相続人であることを承認したことになってしまうので気を付けましょう。 遺品整理は知識がないまま始めてしまうと、取り返しのつかないことになってしまうので正しい知識を身に付けておくことが大切です。

生活保護受給者の遺品整理前に知るべき3つの注意点と対策

意外な相続人が現れる可能性がある

家族関係が複雑化している昨今、相続人に関するトラブルも少なくありません。相続人になった後から、別の人物が相続人として現れるケースもあるので、まず誰が相続人であるかを調査し確定しておくようにしましょう。

遺言書がある場合

遺言書は法的な効力を持っているため、遺言書に遺品整理について指示があれば、遺言書に従わなければなりません。 生活保護受給者が遺言書を残している場合も、遺言書の内容に沿って遺産相続が行なわれます。
遺品はどんなものであっても全て相続財産に含まれます。遺品や遺産を処分したり分配する際には、遺言書に指定されている処分方法がないか確認しながら行うことが大事。後から思わぬトラブルに発展しないように、慎重に進めていくようにしましょう。

生前贈与による問題

生前贈与とは、生存しているうちに財産を他者に贈与することです。相続税の課税対象となる財産を減らすことができるため、主に相続税の節税対策を目的として行われています。
相続人も生活保護受給者の場合は、贈与を受ける財産によって生活保護を受給できなくなる場合もあるので注意しなければなりません。
生活保護を受給している人が相続することになった場合は、生活保護を受けている担当機関に相談を行うようにしましょう。

生活保護受給者の遺品整理、誰がお金を負担する?

費用負担についての法律

亡くなった人が生活保護を受給している場合は、借金だけでなく税金滞納分や生活保護費などの返還義務にも気を付けなければなりません。
生活保護受給者が逝去し相続人となった場合も、亡くなった人の権利義務を承継することが民法によって定められています。
相続人に生活保護を受給する権利は承継されませんが、借金や税金、住居の退去費用、生活保護費に関する返還義務は承継されることを覚えておきましょう。費用が高額な場合は、身を守る手段として相続放棄をすることもできます。

家族がいない場合の処理方法

生活保護受給者の多くは、近くに頼れる身内がいないケースが大半です。遺品整理を手伝える家族や親族がいない場合は、賃貸契約時の連帯保証人が支払い義務を負います。
連帯保証人に支払い能力がない場合や相続人が相続放棄をした場合などは、最終的に物件の所有者や管理会社が責任を負わなければなりません。
物件の所有者や管理会社であっても、残置物の撤去や清掃、遺品整理等は実費で行います。未収の賃料がある場合も、物件の所有者が負担するケースが増えています。

生活保護受給者が生前整理をするには?

生活保護費を遺品整理に充てることはできませんが、受給者が生存中であれば、生活環境改善のための片付けとして生活保護費を使用し生前整理を行うことも可能です。市区町村ごとに内容は異なりますが、要件を満たすことで生前整理のための費用を負担してくれる制度等もあります。

生前整理のメリットと方法

生前整理のメリットは、残された親族の負担が軽減するということ。周りに迷惑をかけたくない人にとっては、自分が動けるうちに行っておくと安心です。
生活保護受給者であっても、生前整理を専門とする業者等に依頼することもできるので、相談してみるのも一つの方法です。

代理人を選ぶ際の注意点

生前整理を代理で行ってくれる業者を選ぶ際には、いくつかの業者から見積もりをとることがポイント。
業者によって金額や対応している業務内容が異なるため、費用だけを比較するのではなく、依頼できる業務についてもよく確認しておくようにしましょう。